米FRBのパウエル議長はインフレ抑え込みに躍起となっているが…(写真:共同通信社)
  • 今春以降の世界的株高は巨大ファンドによる怒濤の先物買いによる影響が大きい。
  • 株高の根拠は、米金利が近くピークアウトするとの予想だが、政府の資金需要増で新規国債の供給は増加する見通し。
  • 米債券市場の需給悪化で一段の金利高となれば、「債券の損失埋め合わせ→株価の暴落」となり、ブラックマンデーの再来もあり得る。

(市岡 繁男:相場研究家)

年末にかけて米長期金利に上昇リスク

 8月12日付の英ファイナンシャルタイムズ(FT)紙に興味深い記事が掲載されました。

Hedge funds pile into equities after missing this year’s rally

 その骨子は、①ここ数週間、数千億ドルの資産を運用するヘッジファンドが、金利上昇のピークが近いとの期待感から、米国、欧州、日本の株式先物買いポジションをパンデミック前以来の最高レベルに拡大している、②5~6月の米国株上昇は、相場下落に賭けて失敗した同ファンド筋のショートカバー(空売りの買い戻し)が要因だった、というものです。

 つまり今春の世界的株高は、そんな巨大ファンド筋が仕掛けた怒濤の先物買いが主因だというわけです。

 ならば今後はどうなるでしょうか。

 件(くだん)のヘッジファンドに限らず、いま株式を買い上げている投資家は「これまで上昇してきた金利のピークが近い」という市場のコンセンサスに基づいています。

 しかし筆者は、現在(8月31日時点)4.1%前後の米長期金利はこれから年末にかけて5%台に上昇するリスクがあるとみています。そして、その場合は先のファンド筋の投げ売りが発生し、株価は世界的に大きく揺らぐことになるでしょう。