トランプ氏はバイデン政権の政策を徹底批判する(写真:ロイター/アフロ)
  • 9月のFOMCで利上げが見送りになったが、パウエルFRB議長の発言が予想以上にインフレを警戒する内容だったことから、米10年債の利回りが高止まりしている。
  • さらなる金利高となれば、投資家が債券の投げ売りとともに株式などのリスク資産圧縮に動く可能性がある。
  • 今後のインフレの再加速を示唆するような統計や動きが出るとの見方があり、注意が必要だ。

(市岡 繁男:相場研究家)

「金利のピークは近い」との読みは外れた

「私たちはおそらく大恐慌に向かっている。こんなことを言ったのは初めてだ。唯一の問題は、それがバイデンの任期中に起きるか、自分の任期中に起きるかだ」

 米トランプ前大統領は9月8日、支持者集会での演説でこう話しました。

 9月19〜20日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通り、利上げが見送りになりました。しかし、その後の記者会見でパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言が、予想以上にインフレを警戒する内容だったことから、米10年債の利回りは昨年10月や今年8月の水準(4.3%台)を上抜く水準となりました。

 ヘッジファンドや各金融機関はこれまで、米金利のピークが近いという前提のもと、株式を買い上げてきました。それだけに読みが外れた打撃は大きいでしょう。

 金利の上昇は債券価格の下落を意味します。筆者が前回記事「ブラックマンデー再来に備えよ、一段の米金利高なら債券投げ売り、株も暴落へ」でも指摘したように、今後は債券の損切りを急ぐと同時に、利益が出ている株式などのリスク資産を圧縮してくるはずです。

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 パウエル議長がインフレに対し、タカ派の発言をしたのは当然のことです。その論拠として米金融サイトWOLF STREETの論考を紹介しましょう。

The Acceleration of Inflation in the Second Half has Begun, “Disinflation” Honeymoon Terminated」という標題のコラムによると、今年の下半期、次の3点の理由からインフレは再び加速するとしています。