パラスポーツが楽しめる東京・足立区の「スペシャルクライフコート」

障害の有無にかかわらず、大人から子どもまで地域のあらゆる人が気軽にパラスポーツを楽しむ——。東京2020パラリンピックのレガシーを独自に育んでいる自治体がある。東京都足立区だ。オランダの元サッカー選手ヨハン・クライフ氏が設立した「ヨハン・クライフ財団」が、障害のある方もスポーツを楽しめる多目的スポーツ施設として世界各国に設置している「スペシャルクライフコート」を2020年11月にアジアで初めて開いた。足立区は同財団と以前から交流があり、共生社会を実現していくための拠点としてこの施設を活用している。パラスポーツを通じた足立区のまちづくりを、『パラリンピックと日本 知られざる60年史』の著者でジャーナリストの田中圭太郎氏が取材した。

(田中 圭太郎:ジャーナリスト)

Jリーグ東京ヴェルディのスタッフが指導

 平日の午後、見慣れないスポーツを楽しんでいる人たちがいる。屋外の運動場に背の低いバスケットボールのゴールが2つ置かれ、それぞれのゴールの前に並んだ2つのチームがシュートを決めた数を競っている。一見するとバスケットボールの一種だが、ドリブルなど激しい動きは不要で、誰でも手軽に参加できそうなスポーツだ。

 ここは足立区総合スポーツセンター内にある「スペシャルクライフコート」と呼ばれる施設だ。開催されていたのは障害のある人を対象としたスポーツ教室で、この日は区内の事業所で働く精神障害のある人たちが、複数のスポーツを楽しんでいた。

オンラインでもスポーツ教室を配信

 指導しているのは、区と協定を結んでいるJリーグ東京ヴェルディのスタッフ。上級パラスポーツ指導員の資格を持つコーチもいて、参加者の体力にあったプログラムを提供している。

 足立区では障害がある人を対象に、事業所向けのスポーツ教室を月2回、個人向けの教室を年10回開催しているほか、パラスポーツ体験会や、誰でも参加できるパラスポーツイベントも定期的に実施。さらに、教室などの予定がない時間帯は、誰でも自由に遊べるようにコートを開放している。さまざまなパラスポーツの道具も貸し出され、施設の利用は全て無料だ。

さまざまな道具を貸し出す

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