運動直後が効果的! 糖質補給でグリコーゲンの回復を

運動後の栄養補給の考え方(前篇)

2018.10.12(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

アイスクリームの筋グリコーゲン回復効果に着目

――エネルギー源である筋グリコーゲンを体に保っておくには、運動前も運動後も、その材料となる糖質を摂取することが大事なのですね。

東郷 ええ。血糖値を高めてインスリン分泌を促し、筋グリコーゲンの量を維持または回復するには、糖質の摂取は基本的に重要です。

 けれども、糖質だけでなく、他の栄養素も組み合わせて摂取することが、インスリン分泌作用をより高め、筋グリコーゲン量の回復をより効果的にもたらすといったことが、研究によって明らかになってきているのです。

――ほかの栄養素というのは・・・。

東郷 まず、糖質とタンパク質の組み合わせが、インスリン分泌量を増加させて、筋グリコーゲン量の回復を促進させることが分かっています。体重1kgあたり糖質のみ1.2gの飲料を摂取するより、糖質0.8gとタンパク質0.4gを組み合わせた飲料を摂取するほうが、インスリン分泌量が多くなることが分かっています。

 加えて、糖質と乳化した脂質の組み合わせで、インスリンの分泌が促進されるかを調べる研究も行われています。私も酪農学園大学の山口太一准教授たちと、この組み合わせであるアイスクリームの摂取に着目して、実験を進めています。

――アイスクリームですか。結果はどうでしたか?

東郷 インスリンの分泌については、予想に反して、同じ糖質量の飲料摂取にくらべてアイスクリーム摂取のほうが効果が小さいという結果になりました。

 しかし、一方で、アイスクリーム摂取のほうが糖質飲料摂取よりも、糖質をもとにしたエネルギーの利用を抑え、脂質をもとにしたエネルギーの利用を促すといった結果も出ました。これは、筋グリコーゲン量の回復にプラスになるのものです。

 こうした研究結果を踏まえて、糖質、脂質、タンパク質のバランス比率を調整することの重要性を考えながら、運動後の回復がその後の運動パフォーマンスに与える影響などを調査しているところです。

後篇へつづく)

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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