なぜヘッジファンドは原油買いを続けているのか

米国経済にとって真の脅威となる原油価格の下落

2018.04.13(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52834
  • 著者プロフィール&コラム概要

 さらにサウジアラビアは、やはり隣国のカタールとも対立を深めている。2017年6月「カタールがテロリストとイランを支援している」ことを理由に断交した。その後、クウェートなどの仲介努力にもかかわらず事態は好転しなかったが、驚くべきニュースが飛び込んできた。4月9日付ブルームバーグが「サウジアラビア政府はカタール国境との間に幅200メートルにも及ぶ大運河を建設するとともに、国境付近に軍事基地と建設が予定されている原子力発電施設から生じる放射性廃棄物処分場を設置する」と報じたのだ。カタールを「半島国家」から「島国」にすることで物理的にも隔離を進めようとしているのだろうか、その意図はともかくとしてカタールに第5艦隊の母港を置く米軍にとって頭が痛い状況となっている。

ムハンマド皇太子が致命的なミス?

 これらの紛争の元凶とも言えるムハンマド皇太子は4月7日、1週間に及んだ米国訪問をブッシュ元大統領の親子との対面で締めくくった。「超保守的なサウジアラビアの近代化を推進するリーダー」との印象を米国内に広めるために躍起だったようだ。

 だが、ムハンマド皇太子は致命的なミスを犯してしまったかもしれない。筆者が注目するのは4月2日付の米誌アトランティックに掲載されたインタビュー記事である。驚いたのはムハンマド皇太子が「サウジアラビアがこれまでIS(イスラム国)などのイスラム過激派に資金支援を行ってきたことを認め、今後支援を打ち切る」と述べたことである。過去の暗いイメージを一掃するためだったのだろうが、これを認めてしまっては「サウジアラビアにはカタールを糾弾する資格がない」ことも認めたことになる。

 さらに驚いたのは「イスラエルの人々は自国の土地で平和に生活する権利がある」と述べたことだ。「イランという共通の敵を倒す」という思惑から、サウジアラビアとイスラエル両国は水面下で接近していたが、その結びつきが一気に表に出てきたのである。ムハンマド皇太子と親密な関係にあるトランプ大統領の娘婿であるクシュナー氏のシナリオに沿ったコメントだったのかもしれないが、公になったタイミングがイスラエル軍の銃撃により多数のパレスチナ市民が死亡した直後と最悪だった(4月4日付アルジャジーラ)。

4
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

オリジナル海外コラム

米国、欧州、中国、ロシア、中東など世界の政治経済情勢をリアルに、そして深く伝えるJBpressでしか読めないオリジナルコラム。

>>最新記事一覧へ