なぜヘッジファンドは原油買いを続けているのか

米国経済にとって真の脅威となる原油価格の下落

2018.04.13(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52834
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 現実の原油需給はどうかと言えば、OPECをはじめとする主要産油国の協調減産は引き続き盤石である。ブルームバーグ調査によれば、3月末のOPEC原油生産量は前月比17万バレル減の日量3204万バレルとなった。ベネズエラが前月比10万バレル減の日量151万バレルとなったことが主要因だった。

 OPEC議長であるアラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は4月4日、「協調減産により供給過剰問題の85%が解消され、主要産油国は減産期間終了後の協力のあり方について協議している」と述べた。

 4月20日にサウジアラビアのジッダで開催される共同閣僚監視委員会では、今後の一定の方向性が打ち出されるとみられる。現在の協調減産は「過剰在庫を過去5年平均まで削減する」ことが目標となっているが、その目標を「過去7年平均」に変更することが有力な選択肢である。OPEC加盟国とロシアとの間の一時的な協調的な枠組みを超長期の体制に発展させていくことも話題に上っている。

 一方、米国の原油生産量は日量1046万バレルにまで拡大し、毎週のように過去最高記録を更新している。

 原油生産量拡大の立役者は米国南部パーミアン地区(テキサス州とニューメキシコ州)のシェールオイルである。収益が飛躍的に改善している企業も少なくなく(3月29日付ブルームバーグ)、新たな資金調達の途も開けつつある(4月9日付OILPRICE)。今後しばらくは増産が続くのではないだろうか。メキシコ湾の深海油田開発コストもシェールオイル並みに下がってきており(3月27日付OILPRICE)、今後メキシコ湾での原油増産も視野に入ってきている。米国の原油輸出は昨年(2017年)後半から急速に増大しており、直近の週平均は日量218万バレルと過去最高を更新している。

 原油価格は昨年前半に1バレル=42ドル台まで低迷したが、主要産油国の協調減産の効果が昨年6月以降の価格に反映されるようになり、今年1月には同66ドル台まで上昇した。その後も同60~65ドルのレンジ圏で推移しているが、原油需給は緩み始め、その緩みがさらに拡大する可能性がある。欧米の投資銀行は「原油価格は年末までに1バレル=50ドルに下落する」との見方も示し始めている(3月29日付OILPRICE)。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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