金融市場に暗雲を漂わせる原油高

実体経済の悪化から金融システムへの脅威へ

2018.04.27(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52958
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イランが警告、米が核合意破棄なら「精力的に」ウラン濃縮再開

イランのモハンマドジャバド・ザリフ外相。イスラエルとイランが軍事衝突する懸念が高まっている(2018年3月13日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ASIF HASSAN〔AFPBB News

米WTI原油先物価格は、世界の原油在庫の減少と中東地域の地政学リスクの上昇を理由に1バレル=70ドル台に達する勢いである。

 4月20日に開催された主要産油国による共同閣僚級監視委員会の会合で、ベネズエラの生産量の低迷などによりOPECの3月の減産遵守率が前月の138%から149%に改善したことが報告された。「OECD諸国の原油在庫水準を過去5年平均まで減少させる」という主要産油国の目標達成も目前である。

 協調減産を開始した昨年(2017年)1月のOECD諸国の原油在庫は、過去5年平均を3億4000バレル上回っていたが、足元では120万バレルにまで減少し、6月末のOPEC総会には「過去5年平均を下回る」ことが確実な情勢となっている。目標達成間近となっていることからロシアのノヴァク・エネルギー相は協調減産の幅を緩和する可能性を唱えているが、イランやベネズエラの供給不安が高まっていることから原油価格が底割れする要因とはなっていない。

OECD諸国の原油在庫はなぜ減少しているのか

 一方、主要産油国の減産努力に大きな脅威となっている米国のシェールオイルの生産量は増勢に拍車がかかっている。月間ベースで10万バレル以上の増産が9カ月続き、米エネルギー省は「5月には日量700万バレルを突破する」と予測する。

 シェールオイルの生産量の伸びが主要産油国の減産規模に匹敵するまでに拡大しているのに、OECD(経済協力開発機構)諸国の原油在庫は着実に減少している。それはなぜだろうか。

 昨年1月から世界の原油需要が増加している(昨年の伸びは日量約160万バレル)ことが主な要因だろうが、筆者はOECD諸国である米国の原油輸出の拡大も影響していると考えている。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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