金融市場に暗雲を漂わせる原油高

実体経済の悪化から金融システムへの脅威へ

2018.04.27(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52958
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 しかし、現場付近で銃声が響く映像がインターネットに投稿され、事件発生から数時間にわたり政府関係者や国営メディアが沈黙していたことから、様々な憶測が生まれている。反体制派に近い筋は「外遊中のムハンマド皇太子がイスラエルの合法性を認めたことに反発した陸軍の上級幹部の1人が、サルマン国王やムハンマド皇太子の暗殺を目論み、負傷したサルマン国王はムハンマド皇太子とともに米軍が直轄するリヤド近郊の軍事基地に移動した」と述べている。

 真偽のほどは定かではないが、サウジアラビア王族内にムハンマド皇太子への反発が高まっていることは間違いない。建国以前の部族対立を教訓として「王族君主制(君主の王族が君主と一体となって統治する形態)」により国を治めてきたサウジアラビア王族にとって、独裁者への道をひた走るムハンマド皇太子は建国以来の伝統を無視する異端者以外の何者でもない。

原油高が引き起こす実体経済の悪化

 失業者の増大に危機感を強めるサウジアラビアは、他国への軍事侵攻や国内のメガプロジェクト(スマートシティ(5000億ドル)、メガソーラー(2000億ドル)の予算確保のため「喉から手が出る」ほどカネがほしい状況だ。そんなサウジアラビア政府が望む原油価格は1バレル=80ドル以上とされる。これに同調する形で原油先物市場で「買い」が過去最高の水準にまで膨らんでいる。サウジアラビア自身の地政学リスクも効を奏して1バレル=80ドルの可能性が見えてきた。

 だがその矢先に、盟友であるトランプ大統領からストップがかかった。

 4月20日、トランプ大統領はツイッターで「原油価格は人為的にとても高くなっている」と、OPECとロシアなどによる協調減産を批判した。背景には「原油高に伴う国内のガソリン価格上昇が、自らが実施した減税措置の効果を相殺してしまう」との懸念があったようだ。これに対しOPEC側は「米国の石油産業も協調減産の恩恵を受けている」と反論したが、原油高がもたらす米国経済へのダメージはトランプ大統領の想定より深刻かもしれない。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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