金融市場に暗雲を漂わせる原油高

実体経済の悪化から金融システムへの脅威へ

2018.04.27(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52958
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 核合意の行方が不透明になったことを背景に通貨リアルが急落、イラン経済の苦境が深まっており(4月23日付日本経済新聞)、イラン国内では強硬派の発言力がますます強まる情勢である。米国が5月にイランとの核合意を破棄することが確実視されつつある情勢下で、イラン側は「即座にウラン濃縮を開始する」と反発し、中東地域の「核ドミノ」のリスクが高まっている。

 イランの国際社会への反発が協調減産に悪影響を及ぼすのは必至だろう。イランのザンギャネ石油相は4月23日、「原油価格の上昇が続いた場合、協調減産の期限は必要なくなるであろう」と述べた。1バレル=50ドル台でも財政が賄えるイランにとって原油価格の下落は直ちに大きなダメージにならず、むしろ米国のシェールオイルなどに市場が席巻されることを問題視し始めている。5月に核合意が破棄されれば、経済のさらなる悪化を阻止するために外貨獲得の拡大が必須である。米国の制裁をかいくぐっても輸出攻勢を仕掛け、サウジアラビアが主導するOPECの戦略に大きな風穴を空けることだろう。

独裁者への道をひた走るムハンマド皇太子

 サウジアラビアを巡る内外の情勢も深刻になりつつある。

 イエメン西部を実効支配しているイスラム教シーア派武装組織フーシが4月22日、サウジアラビア南部のナジュラーンにある発電施設に向けてミサイルを発射した。サウジアラビア空軍はミサイルを迎撃したとしているが、イエメンからのサウジアラビア領内へのミサイル攻撃が一向におさまらない。

 4月23日にはサウジアラビア軍がイエメンを空爆し、反体制派の指導者を死亡させたとの報道が流れたが、同じ日に「フーシがイエメン沖でサウジアラビアの原油タンカー19隻を拿捕した」という驚くべき情報が飛び込んできた(4月23日付OILPRICE)。このようにサウジアラビアとイエメンを巡る紛争は原油輸送にとって現実の脅威になりつつある。

 サウジアラビア国内に目を転じると、4月21日夜、飛来した小型無人機(ドローン)が治安部隊に撃墜されるという奇妙な事件が発生した。ドローンは娯楽用のおもちゃであり、サルマン国王は王宮に不在でけが人もなかったという。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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