金融市場に暗雲を漂わせる原油高

実体経済の悪化から金融システムへの脅威へ

2018.04.27(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52958
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 原油価格の堅調さは信用スプレッドの拡大を回避し好調な株価を維持する効果を有することは前回のコラムで述べたが、原油高によるインフレ懸念で米国の長期金利が4月24日に4年3カ月ぶりに3%を突破したことが新たな懸念材料となっている。

 マーケットアナリストの市岡繁男氏は「米10年債の利回りが現在過去10年の移動平均を上回っており(2008年時点よりも乖離率は大きい)、長期金利の高止まりにより多額の借金に依存してきた金融市場は大混乱に陥るかもしれない」と警鐘を鳴らしている。

「国際商品相場は再びスーパーサイクルの入り口にあり、マネー流入はさらに加速する」との声も聞こえ始めている。現在生じていることは「景気後退に近づく回復局面後期に国際商品相場が大きく上昇する」現象(4月23日付ロイター)ではないだろうか。

 原油高によるガソリン需要の減少などは生じていないが、原油高が実体経済に与える影響については「1バレル=80ドル以上なら世界の経済成長に赤信号が点る」との分析がある(4月5日付日経ビジネスオンライン)。1バレル=40~60ドル程度が世界経済にとって居心地の良い水準だったが、投機資金の流れが加速し、70ドル超えも十分あり得る情勢になっている。2007年から2008年夏にかけての原油相場の急上昇を彷彿させる動きになりつつあるが、実体経済の悪化から金融システムへの脅威が高まるとのシナリオが繰り返されるのだろうか。

 大和証券チーフマーケットエコノストの岩下真理氏は「原油発の『セル・イン・メイ(5月に売り抜けろ)』となるかもしれない」としているが、その後に「リーマンショック」級の金融危機が来ないことを祈るばかりである。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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