バブルの様相を帯び始めてきた原油市場

世界好景気の裏で、これから大きくなりそうな下げ圧力要因も

2018.01.19(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52123
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 汚職を名目に昨年11月に摘発されていた大勢の王子や閣僚経験者らが拘束されていたリヤドの超高級ホテル「リッツ・カールトン」は1月15日、「2月中旬から営業を再開する」との見通しを明らかにした(1月15日付AFP)。和解が成立した多くの重要人物が釈放され、一連の和解で約1000億ドルもの資金が国庫に移るとされている。しかし国際社会が注目していたアルワリード王子は、釈放の条件である600億ドルの支払いを拒否したため、リッツ・カールトンからサウジアラビア国内で最も警戒が厳重な刑務所に移送されたようである(1月14日付ZeroHedge)。アルワリード王子が首を縦に振らなければ、政府のカネ不足の状態は一向に改善しない。

 政府は、中東最大の建設会社であるビン・ラディングループへの多額の資金未払いを抱えている。その借金帳消しのために、同グループを接収しようしているようだ(1月11日付ZeroHedge)。さらに、国際金融市場からの100億ドルの借り入れや、政府系ファンドの投資資金調達のための銀行借り入れを検討している(1月15日付ブルームバーグ)。

 財政赤字の元凶とも言えるイエメンへの軍事介入は、出口が見えないどころか、サウジアラビアの安全保障にとって深刻な脅威になりつつある。昨年後半以降、イエメンの反政府武装組織フーシのミサイル攻撃が増加していることに加え、1月8日にはサウジアラビア軍の戦闘機(F-15)がフーシによって撃墜された。9日、フーシは「サウジアラビアの空爆が継続されれば、タンカーなどが多く通過するイエメン沖の紅海(バブ・エル・マンデブ海峡)の封鎖も辞さない」と警告を発している。17日、フーシが発射したミサイルがサウジアラビア南西部の軍事基地に命中したとの情報もある(1月17日付ZeroHedge)。

 こうしたサウジアラビアを巡るリスクが顕在化すれば、原油価格が高騰し、世界の中央銀行はインフレ懸念から金融引き締めを余儀なくされる(「ゴルディロック相場」の終わり)。「原油価格の急騰(2007年7月:1バレル=147ドル) → ゴルディロックス相場が崩壊して世界経済が失速 → 原油価格が大幅下落(2009年3月:1バレル=33ドル)」というリーマンショック後の悪夢が頭をよぎる。歴史が繰り返さないことを祈るばかりである。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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