バブルの様相を帯び始めてきた原油市場

世界好景気の裏で、これから大きくなりそうな下げ圧力要因も

2018.01.19(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52123
  • 著者プロフィール&コラム概要

 投資家の間から「増産ばかりを追求するのではなく、債務の返済に充てる資金を内部留保してほしい」との声が高まっているとするのが主な理由である(1月11日付OILPRICE)。シェール企業は大量に発行したジャンク債の償還が今年から始まり(毎年約20億ドル)、2022年にピークを迎える(約113億ドル)。無謀な増産により自ら破滅を招いたという過去の教訓もある(2015年後半から2016年前半にかけて100社以上のシェール企業が経営破綻した)。

 足元の原油価格に比べて期先の原油価格が割安になっているため、増産に備えた「売りヘッジ」が行いにくいとの事情もある。さらに、シェールオイルの掘削現場での人手不足がより深刻になっているとの報道(1月15日付OILPRICE)もある。

 だが、シェール企業の「増産に慎重」な姿勢はいつまで続くだろうか。国際エネルギー機関(IEA)は、「WTI原油価格が1バレル=65ドルを超えればシェールオイルの増産は堅調となる」との見通しを示している。一時ほど「原油価格上昇 → シェールオイル増産」というフローが顕著ではなくなったものの、今後の動向には要注意である。

もしも米国が北朝鮮を攻撃したら?

 さらに、バブル化し始めている原油相場を攪乱させそうなのが、地政学リスクである。

 年初はイランの政情不安に驚かされたが、抗議活動は沈静化したようである。抗議運動の指揮者・政治勢力が不在であるとの弱点が露呈し、運動は一気に下火になったとされている。

 イランにおける抗議活動にいち早く支持を表明した米国のトランプ大統領は、1月12日、2015年の核合意により解除した対イラン制裁を復活させないことを決定した。しかし、120日の期限付きで「国際査察官のすべての場所への即時査察を認める」などの4つの条件(イランにとっては受け入れがたい)が満たされなければ、2度目の制裁解除継続はないと明言しており、今年5月にイランに対する制裁が再発動される情勢になりつつある。これによりイランの原油輸出は打撃を受けるだろう。

3
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

オリジナル海外コラム

米国、欧州、中国、ロシア、中東など世界の政治経済情勢をリアルに、そして深く伝えるJBpressでしか読めないオリジナルコラム。

>>最新記事一覧へ