バブルの様相を帯び始めてきた原油市場

世界好景気の裏で、これから大きくなりそうな下げ圧力要因も

2018.01.19(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52123
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 欧州諸国は米国に同調しないことからそのダメージはあまり大きくないだろうが、むしろOPEC加盟国内での不協和音が一気に高まり、協調減産の枠組みが瓦解する懸念の方が気がかりだ。

 北朝鮮情勢はどうだろうか。トランプ大統領が平昌オリンピック終了後に北朝鮮へ軍事攻撃を開始するのではないかと取り沙汰されている。だが、北朝鮮への空爆を中心とする短期的な軍事攻撃であれば、原油価格への影響は少ない。軍事攻撃の被害が韓国や中国に及べば当該地域での原油需要が減少するとの思惑から、むしろ原油価格に対する下げ圧力になるのではないだろうか。

サウジリスクで原油価格は高騰から下落へ

 最後に、日本にとっての最大の原油輸入国であるサウジアラビアの政情は安定したのだろうか。

 1月12日、サウジアラビアの沿岸都市ジッダで、同国で初めて女性による会場での観戦が許されたサッカーの試合が行われた。日本をはじめ世界のメディアは「サウジアラビアの女性にとって歴史的な日である」とこの模様を大々的に報じたが、国内の混乱ぶりを覆い隠すためのプロパガンダであるように思えてならない。

 イランに続きチュニジアでも経済への不満から抗議活動が発生したが、サウジアラビア国民が生活に満足しているとは思えないからだ。

 今年初めから付加価値税(5%)が導入され、燃料価格も再び大幅値上げとなった。政府が公共事業を大幅に削減していることから雇用市場の悪化も続いている(首都リヤドでは、宮殿近くの大通りで増税などの経済政策に反対するデモが発生したとの情報がある)。

 1月4日、リヤドの宮殿前で抗議活動を行った11人の王族が拘束された。政府発表によれば「王族に対する電気・水道代への手当てが停止された」ことなどに対する抗議だとされている(抗議の内容は、政府の都合により歪曲されている可能性が指摘されている)。王族内での不満の高まりは、今後体制転換を意図する勢力に利用されることだろう。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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