イエメン泥沼化がもたらす世界経済への悪影響

原油価格高騰がバブル崩壊をもたらす危険

2017.12.08(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51788
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 サウジアラビア当局は、拘束した人物から500~1000億ドルの資金回収を見込んでいるとされているが、「当局が求める金額を支払えないため、多くの王子の拘束が長期化している」ようだ(ムハンマド皇太子は11月24日に「財産放棄と引き換えに釈放することに大半が同意している」と述べていた)。

 筆者が疑問に思ったのは、「王子らの尋問(拷問)を米国の民間軍事会社アカデミ(旧ブラックウォーター)の傭兵たちが行っており、中でも世界的な投資家であるアルワリード王子は相当手荒な扱いを受けている」(11月23日付ZeroHedge)ということである。

 ムハンマド皇太子は一連の権力集中化の動きにより、国防軍に加え内務省(警察)、国家警護隊とすべての「暴力装置」を掌握したはずなのに、尋問のためになぜ民間軍事会社の手を借りなければならないのだろうか。この報道が事実だとすれば、ムハンマド皇太子はこれらの「暴力装置」を把握できていない、もっと言えば、「暴力装置」と敵対しているのではないかと疑いたくなる。

 今回の逮捕劇では、標的はアブドラー前国王の息子たちとされているが、「“ズデイリー・セブン”(初代国王に寵愛を受けたズデイリー家出身の妻が産んだ7人の王子、サルマン国王もその1人)に属する王子らも含まれている」との情報もあり、本来なら味方になるはずの王族まで敵に回してしまった可能性がある(ただし「反対勢力が直ちに反旗を翻す情勢にない」との見方が現段階では強い)。

 国際社会からの懸念をよそに、国内ではムハンマド皇太子の改革を称賛する声が圧倒的に多いようだ(ニューズウィーク誌12月5日号)。ムハンマド皇太子はエンターテインメントを重視したり、穏健なイスラムを標榜したり、女性の自動車運転を解禁するなど人口の半数を占める若者を味方につけようとしている。驚くのは、若者に限らず一般の国民が「ムハンマド皇太子には良心があり、腐敗に手を染めることはない」と信じていることである。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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