イエメン泥沼化がもたらす世界経済への悪影響

原油価格高騰がバブル崩壊をもたらす危険

2017.12.08(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51788
  • 著者プロフィール&コラム概要

原油価格を上昇させた「供給途絶」事案

 この均衡を破るのは「突発事象による原油供給の大幅途絶」ではないだろうか。

 今年9月以降に原油価格が上昇したのは、まさにそれだった。まず、8月末のハリケーン「ハービー」をはじめ複数のハリケーンが米国を直撃したことで同国の原油生産量が減少した。9月末にはイラクのクルド自治政府による独立の是非を問う住民投票が実施されたことが原因となり、イラク北部からの原油輸出(日量約60万バレル)が停止した。

 さらにその後、ベネズエラの財政危機が深まり、同国の原油生産量はじりじり減少している(現在の生産量は日量約190万バレル)。ベネズエラの国営石油会社PDVSAは11月に入り「デフォルト」状態にあると認定されたことから、新規プロジェクトを大幅に削減し、従業員に対して50%のコスト削減を求めており、原油生産量がさらに落ち込むのは確実な情勢である。

 しんがりは、カナダから米国を原油を輸出するキーストーンパイプラインでの大規模な漏出事故である。11月中旬の事故発生以降、最大日量約60万バレルの原油輸送がストップした(現段階では復旧の目途は立っている)。

 秋以降の一連の「供給途絶」事案により1バレル=5ドル以上の価格上昇効果があったと筆者は考えている。

成功の保証はないムハンマド皇太子の改革

「供給途絶」事案はまだ続くかもしれない。筆者の念頭にあるのは、サウジアラビアを巡る内外の「きな臭さ」である。

 日本では報道が少なくなったが、11月4日に始まった一連の汚職逮捕劇は収束する兆しが見えていない。ムハンマド皇太子が率いる汚職摘発の委員会が有力王子や閣僚らを一斉拘束して1カ月が過ぎたが、アブドラ前国王の息子で国家警護隊相を務めていたムトイブ王子など一部は拘束を解かれたものの、依然として約200人の王子らが拘束されたままである(12月5日付日本経済新聞)。

2
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

オリジナル海外コラム

米国、欧州、中国、ロシア、中東など世界の政治経済情勢をリアルに、そして深く伝えるJBpressでしか読めないオリジナルコラム。

>>最新記事一覧へ