原油市場で地政学リスクが効かなくなっている理由

原油価格に大きな影響を与える11月のOPEC総会

2017.10.27(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51439
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 米エネルギー省は10月16日、「主要7地域での10月のシェールオイル生産量は日量603万バレルと初めて600万バレルの大台を超え、11月は日量612万バレルに達する(前年比15.8%増)」との見込みを発表した。米国原油の輸出量は9月下旬に日量198万バレルと大幅に上昇し、その後も堅調に推移している。今や200万バレル越えも視野に入ってきている状況である(10月13日付OILPRICE)。

深刻さを増す中国の供給過剰

 中国では国内で石油製品の供給過剰の状態が続いている。

 筆者は中国の原油輸入量は減少すると見ていたが、9月の原油輸入量はその予想に反し日量904万バレルと半年ぶりの高水準となった(7月は同818万バレル、8月は同800万バレル)。前年に比べても12.0%増となったが、驚くべきは9月の原油処理量が前年比12.7%増と過去最高水準になったことである(8月の処理量は前年比3.4%増)。ガソリンや軽油の生産量も2桁増となっている。

 国内での石油製品の供給過剰は深刻さを増しており、輸出増に拍車がかかっている。一時的な要因としては、政府の環境規制強化に対応するため稼働率が落ちていた民間製油所(茶壺)が事業を再開したことなどが考えられる。だが、政府のEV車導入の動きも加速しており、ファンダメンタルズが改善しない限り、民間の原油需要は順調に伸びていくことはないのではないだろうか。

 施設容量が一杯になったと噂されてきた政府の石油備蓄についても、国際エネルギー機関(IEA)は12日、「中国政府は既に8.5億バレルの石油備蓄を有しているが、さらに8~10億バレル分の容量がある。今後半年間は高水準で石油を備蓄するだろう。ここ2カ月の輸入の落ち込みは一時的なものに過ぎない」との見方を示した(10月12日付OILPRICE)。9月の原油輸入量の大幅増加はIEAの予測を立証したことになる。

中国の石油会社がサウジアラムコに触手

 世界最大の原油輸入国となった中国は、中東産原油への関与を強めようとしている。

 ロイター(10月16日付)は、「中国の2大国有石油企業(中国石油天然ガス、中国石油加工)がサウジアラムコの株式を最大5%を直接買収したいと申し出た」と報じた。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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