原油市場で地政学リスクが効かなくなっている理由

原油価格に大きな影響を与える11月のOPEC総会

2017.10.27(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51439
  • 著者プロフィール&コラム概要

 その要因は主要産油国の協調減産のようである(10月17日付OILPRICE)。協調減産のせいでOPEC全体の余剰生産能力が日量240万バレルと拡大しているのだ(前年同時期の2倍)。協調減産により足元の原油需給にはプラスの効果をもたらしているが、減産分が上乗せされた余剰生産能力が地政学リスクを効かなくしているというわけである。

 地政学リスクの高まりとは裏腹に、今年の世界の原油市場では突発的な供給途絶事案が減少している。米エネルギー省によれば、昨年5月には日量約360万バレルの原油が突然の供給途絶事案で失われた(2011年1月以降で最大規模)。最大の要因は、カナダの山火事だった(日量約100万バレル)。一方、2017年9月時点の突発的な供給途絶による原油供給の減少量は日量約160万バレルだった。突発的な供給途絶の発生場所はリビア、ナイジェリア、イラクである。ただし、ナイジェリアやリビアでの減少量は昨年より100万バレル以上縮小されている。

 世界の原油市場の需給関係も第3四半期をピークに今後しばらく悪化する可能性がある。ゴールドマン・サックスは「第4四半期以降、定期検査を終えた北海、アゼルバイジャン、カザフスタン、ブラジルなどで原油生産量が増加するため、原油在庫の減少は続かない」と指摘する。IEAも「来年第1四半期に需要の低下により世界の原油市場は再び供給過剰に陥る」と予測している。

 このように、今後の原油価格は地政学リスクが弱まれば下落する可能性が高い。11月のOPEC総会は2014年11月の総会と同様、原油価格の行く末に大きなインパクトを与えるのではないだろうか。

5
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

オリジナル海外コラム

米国、欧州、中国、ロシア、中東など世界の政治経済情勢をリアルに、そして深く伝えるJBpressでしか読めないオリジナルコラム。

>>最新記事一覧へ