塩鮭とコーヒー? 相性の良さを味覚センサーが発見

多様化する味のニーズも味覚のデータの可視化で解決

2017.08.11(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

「コーヒーの開発にも味覚センサーが使われています」と池崎さんは続ける。

 まずは専門家や開発担当者がコーヒーの味を決め、その味をセンサーで測定しておく。また、コーヒー豆の種類や豆の焙煎具合などを変えたときのコーヒーの味も測定し、さらに価格も入れてデータベース化しておく。そうすれば、味は目標通りで、価格を下げたブレンドを計算で見つけることができる。コーヒー豆の味や価格が変動しても、常に目標通りの味で、かつ、コストを抑えた設計を計算から導き出すことができる。

味覚センサーを使って味を設計

 味覚データを分析すると、年齢や地域によって嗜好性に差があることが示された。たとえばレギュラーコーヒーでは、熟年層は酸味の強いタイプを好むが、若年層は苦味の強いタイプを好む。若者はスターバックスに代表される苦味タイプのコーヒーに慣れており、一方の熟年層は、喫茶店で酸味を楽しむコーヒーに慣れていると業界では推定されている。

 また、麺のだしでは、関東ではコクが強いタイプが好まれるが、さぬきうどんをよく食べる地域ではうま味の強いタイプが好まれることが分かった。これらの分析結果は、自分がおいしいと思ったものが必ずしも受け入れられるとは限らないことを示している。

 味覚センサーのデータを使えば、多様なニーズを絞り込んだり、ターゲットに合わせて味を設計したりすることができる。「工業製品などの開発では製品のシミュレーションは当たり前に行われていますが、食品開発ではまだ行われていません。味覚センサーがあればシミュレーションが可能になります」と池崎さんは説明する。

意外な組み合わせが次々と

 味が客観的に示されれば、私たちが製品を購入する際にも役に立つ。

 イオンでは、ワインの通販サイトに味覚センサーの分析値のグラフをソムリエのコメントともに掲載している。グラフの形を比べればワインの味の違いが一目で分かる。好みのワインを探すにはグラフの形が似たものを、また、違う味わいのものを楽しみたければグラフの形の異なるものを選べばよいというわけだ。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。


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