世界で異色、「あん」抜きには語れない日本の豆料理

消費量減の時代に見直したい、豆の多能性

2017.07.07(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要
黒豆(左上)や大豆(右上)など多種多様な煮豆。

 豆と私たちの付き合いは長く、身近な食品であるが、意外に知らないことが多い。

 世界には豆を使った煮込み料理がたくさんあるが、日本にはあまりないのはなぜだろう。また、日本では豆を甘くして食べるのはどうしてか。そんな疑問に迫ってみた。

あんに利用するも、豆料理は少ない

 ガラス瓶に野菜を重ねて詰めるジャーサラダが流行し、サラダ専門店が登場するなど、近年サラダの人気が高まっている。ステーキの付け合わせだったサラダは、いまやメインディッシュの存在だ。サラダの具材はレタスやトマトにとどまらず、肉類やナッツ、雑穀などバラエティ豊かである。 

 中でも大豆やインゲン豆など数種類の豆のトッピングは、白や緑色など色や形がさまざまで、目を楽しませてくれている。スーパーマーケットでは、サラダ用の水煮の豆の缶詰や総菜がたくさん並んでいる。豆といえば甘い煮豆ぐらいしか思い浮かばなかったが、そんな食べ方があるのだと感心する。

 私たちは豆類をどれくらい食べているのだろうか。農林水産省の食糧需給表によれば、2015年における大豆の消費は1人1日あたり17.1g。消費量の推移は1980年ごろからほぼ横ばいとなっている。だが一方で、小豆やインゲン豆など、大豆以外の豆類(雑豆類)の消費は減っている。1970年では1人1日あたり13.6gだったが、2015年では7.1gとほぼ半減してしまっている。

 もっと驚いたのは、雑豆類の約6割は「あん(餡)」として利用されているということだ。日本豆類協会によれば、小豆やインゲン豆のほとんどは、あんや菓子原料として、またエンドウ豆やソラ豆は、あん以外に煎り豆などとして利用されている割合も多い。大豆は豆腐や納豆、みそなどに加工して食べることが多く、豆類の料理はあまり見かけない。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。


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