食の世界でも勢力拡大の人工知能、その活用法とは?

作物を仕分け、加工作業を代替、レシピを開発

2017.06.16(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
「食」関連分野にも人工知能が到来している。

「未来はそれが実際に起こるずっと前に、我々の中に入り込み、自らの姿を変えようとしている」という言葉がある。

 この言葉から連想される象徴的な技術に「人工知能」がある。「気づいたらあちこちで使われていた」と人々に感じさせるかのごとく、この人工知能は社会に入ってきている。

「食」の分野とて例外ではない。「農業」「食品業」「家庭での食生活」を切り口に、人工知能がどこまで来ているか、見てみたい。

必要こそ技術普及の牽引力――農業

 技術が浸透する大きな要因は「必要だから」。高齢化や後継者不足に直面する農業では、これらの問題を技術で解決しようとする流れがある。人工知能への期待もかかる。

 ボッシュは6月、人工知能を使用したハウス栽培トマトの病害予測サービスを開始した。センサーが得た温度や湿度などのデータをもとに、人工知能が「葉濡れ」などの病害発生に関わる要素を解析し、気象予報とも連動して、植物病の感染リスクを利用者にスマートフォンのアプリで伝える。病害予測精度は「92%」(同社)。今後はトマト以外のハウス農作物にも対象を拡大させていくという。

 一方、農家自身が人工知能を使って、農作業の仕組みの開発を試みる先駆的事例もある。静岡県でキュウリ栽培を営む小池誠氏は、人工知能を実現する「ディープラーニング」という手法を使って、形や色合いや大きさによりランク分けをする「自動きゅうり仕分け機」を開発中だ。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

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