ミントはなぜ「冷たい」のか? 感覚の謎に迫る

人の温度センサー、発見から作用解明までの20年

2017.04.28(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
清涼感を得られるガムや菓子。低い温度で「冷たい」と感じる仕組みとも密接な関係が。

 これから暑くなってくると、食生活でも「冷」を求めるようになる。ビールやアイスなどの需要は高まっていくが、もう1つ、常温のままでも「冷たく感じる」ことのできるミント系の食べものもある。じつは近年、そうした「冷たい」は、疑似でなく本当に体が感じている感覚であることが分かってきた。

人の体は温度ごとに温度センサーを備えている

 人が氷を手で触れて「冷たい」と感じたり、お湯に手を入れて「熱い」と感じたりするのは、冷たさや熱さなどの刺激を受ける「温度センサー」が皮膚にあるからだ。

 このセンサーは「温度受容器」と呼ばれる。ただ1種類の温度受容器が冷たさから熱さまで一手に受けるのではなく、“冷たさ担当”や“熱さ担当”のセンサーがファミリー(由来が同じタンパク質群)として数種類そろっているのだ。

 たとえば、冷たい水風呂のような、17℃以下の温度には「TRPA1チャネル」と呼ばれる温度センサーが反応する。一方、銭湯の風呂よりずっと熱い52℃以上の温度には「TRPV2チャネル」という温度センサーが反応する。温度による刺激は、各センサーから脳に伝わって「冷たい」や「熱い」と感じるようになる。

 17℃以下から52℃以上まで、どの温度範囲にも対応する温度センサーがそれぞれ反応するため、私たちは「徐々に冷たくなってきた」などの温度変化を感じられるのだ。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。