1枚の葉をここまで食卓の華にしてしまう日本人

桜餅にもみじ天ぷら:食を彩る季節の葉っぱ

2017.03.10(Fri) 長沼 明子
筆者プロフィール&コラム概要
桜餅。餡入りの餅を塩漬けした桜の葉でくるむ。西日本では写真のような道明寺粉が、東日本では小麦粉が使われることが多い。

 桜前線が話題になる季節。和菓子コーナーには桜餅が並び、季節を感じさせる。薄い生地で餡を巻く「関東風」、もち米食感が残る饅頭に餡が入る「関西風」といったように、違いがあるのも楽しい。

 自分の出身地にはないタイプの桜餅を見ても「桜餅だ」と認識できるのは、独特の色をした桜の葉にくるまれているからだろう。

 しかし、全国各地にあれだけ桜の木があるのに、木についている葉っぱを見てとりわけ「おいしそう」と思うわけでもない。どうして食べもの葉っぱが使われているのか。桜餅をはじめ、食における「木の葉」の登場のしかたを探ってみた。

桜餅に使われる塩漬けの葉

 桜餅の葉は、静岡県の伊豆が最大の生産地である。使われるのはオオシマザクラという品種だ。この地域の山野に自生していた野生種の桜の1つである。現在、桜の代表的品種になっているソメイヨシノの交配にも、このオオシマザクラが使われた。

 桜葉漬を生産・販売している山眞産業は、オオシマザクラを「葉は大ぶりで幅広、柔らかくうぶ毛が少なく、甘く香る芳香成分・クマリンが多く含まれているので、まさに桜餅に最適」と賞賛する。同社の製品は伊豆半島南西部で栽培されたものを使っている。

 葉を春のうちに摘み、食塩水で煮てから塩で漬け込むことで桜葉漬が完成する。最大の生産地である伊豆の松崎町あたりでは、畑地に桜の木が栽培されており、そこで桜葉漬の生産もされている。

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教材出版社で編集を担当した後、企業の経営課題や人材育成を行う団体に転職。研究調査や研修企画などを行った後、独立。人材や組織に関する取材や記事作成、イベント企画などを多く行ってきた。


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