魚の消費が減っても市場拡大していた「骨なし魚」

高齢社会で再び注目が集まる“安全に食べられる魚”

2017.02.03(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要
骨を抜いてある白身魚。高齢化を背景に「骨なし魚」の需要が高まっている。

 今や高齢者向け施設の食事では「骨なし魚」が当たり前。より食べやすく、調理しやすくと、さまざまに工夫された製品が出回っている。

水産物消費減の中でも市場拡大

 4人に1人が65歳以上という高齢社会になり、高齢者向けの食品の需要が高まっている。高タンパク質、低カロリーの魚は積極的に取り入れたい食品だが、噛む力や飲み込む力が衰えた高齢者には、小骨が喉に刺さりやすい。

 骨が喉に刺されば危険なので、事故防止策として2000年頃から骨なし魚が出回るようになった。今では、介護施設では魚は骨なしが当たり前になっている。

 骨なし魚とは、あらかじめ骨を抜いた魚のこと。1998年に業務用冷凍食品の開発や販売などを行う大冷が「骨なし太刀魚」を開発し、病院で採用されたのが骨なし魚の普及の発端だった。

 当初は高齢者や病院食向けのものだったが、近頃では魚の骨がクレームの対象になることもあり、学校給食や外食産業でも多く使われている。店頭にも並ぶようになり、使いやすさから一般消費者の購入も増えている。水産物の消費が減る中で、骨なし魚だけは大きく市場を広げているのだ。

ピンセットで1本ずつ抜いて「骨なし」に

 骨なし魚は手間をかけて製造されている。鮮度が落ちないよう管理した環境で、人がピンセットを使って、骨を1本1本抜いているのだ。骨の取り残しがないよう、X線で魚を検査する念の入れようだ。骨を抜くと身が崩れるので、酵素や食品添加物を使って形を整え、凍結して製品になる。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。


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