体重の大小よりも“体の中身”が問題だ

「太れない」「痩せられない」の科学(前篇)

2017.02.10(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
「痩せ」か「肥満」か、体重だけで判断しがちだが・・・。

 現在は飽食の時代。ダイエットが人々の関心事から消え去ることは、今後も長らくなさそうだ。けれども、社会の関心が「いかに痩せるか」に向けられる陰で、「いかに太るか」という問題を抱えている人たちもいる。太れないで悩んでいる人たちだ。

 自分の体型や体重を、希望通りにコントロールできないという点では、「痩せられない」も「太れない」も一緒。そうであれば、痩せられない人とともに、太れない人たちの悩みにも寄り添い、そうした体の傾向がどうして生まれるのか探るべきではないか。

 そこで今回は「痩せ体質と太り体質」をテーマに、原因や改善への心構えを前後篇で探ることにしたい。数々の疑問に応じてくれたのは、東邦大学医療センター大森病院の鷲澤尚宏氏だ。消化器外科医出身で、栄養学の知見も深い。また、同院の栄養治療センター部長として、患者の治療効果を上げるための支援業務を牽引している。

 前篇では、太れない人と痩せられない人が、どうして生じるのかに光を当て、話を聞くことにする。後篇では「痩せたい」に比べて話題になることが極端に少ない「太れない」という悩みについて、どう対処すればよいのか聞くことにする。

普段の食べる量と偏りが影響

――人間の「太れない」「痩せられない」という傾向は、どうして生じるのでしょうか。

鷲澤尚宏氏(以下、敬称略) 普通に考えると、食べものの摂取量におのずと個人差があるものです。単純な話ですが、もともと食べる量が少ない人は痩せる傾向になるし、食べる量が多い人は太る傾向になるということです。

 また、食べているものの種類に偏りがあることも「太れない」「痩せられない」に関わってきます。「果物は健康によい」と聞いたからといって、果物ばかり食べていれば、糖分を摂りすぎで太ります。逆に「太りたい」と思ってよく食べている人にも、食べものの種類に偏りがある方はいます。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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