体重の大小よりも“体の中身”が問題だ

「太れない」「痩せられない」の科学(前篇)

2017.02.10(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

「痩せ」はその内容こそが大事

――「痩せている」「太っている」という認識は、かなり主観的なものでしょうか。

鷲澤 ええ、「このくらいがちょうどいい」と思い描く理想は、人によってばらばらです。本人は「太りたい」と思っているのに、周囲は「うらやましい」と思う。また「痩せられない」と悩みを打ち明けても、友人からは「今でも十分、痩せているよ」と言われるのもよくあることです。

 もう1つ、自然に「このくらいがちょうどいい」と感じるのとは別に、具体的な必要性から「太らなければ」あるいは「痩せなければ」という人もいます。身近な例では「着たい洋服に自分の体を合わせる」といったものです。運動選手も、試合のために増量や減量を強いられます。

 そうした、自然な感覚ではない目標に合わせようとしているうち、自分の無意識的な感覚も「もっと太らないと」または「もっと痩せないと」というものになってしまうことがあります。

――客観的な指標としては、「体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)」で計算する「ボディ・マス・インデックス(BMI)」がありますね。22が「標準」で、25以上を「肥満」、18.5未満を「痩せ」としています。

鷲澤 BMIは、自分の身長あたりの体重のことを言っているので、結局、体重での評価といえます。小中学校の身体測定などで使われる「ローレル指数」も同様です。人は、体重だけで痩せているか太っているかを表現しがちです。

――それは適切なのですか。

鷲澤 大まかには当たっているといえます。特に「メタボ」と呼ばれるような肥満の体については。

 けれども、痩せている人にもそれが当てはまるかは、考える必要があります。

――と言いますと。

鷲澤 痩せていることの要素として、何が大きく影響しているのかを見極めるべきということです。たとえば、BMI16といった痩せの人でも、筋肉がしっかり付いていて、内臓もしっかり機能していれば、痩せていても健康上の問題はありません。

 一方で、体脂肪率が高いのに体重は軽いといった痩せ方をしている人などは、血液の状態が悪い恐れがあり、健康上は危険な状態にあると言えます。

 つまり、痩せている人の「ボディ・コンポジション」つまり、体の組成がどうなっているかが大切なのです。

後篇へつづく)

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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