お酢はいつから「健康によい」調味料になったのか?

調味料の名脇役「お酢」の歴史と科学(前篇)

2017.03.24(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
お酢。米果実など原料によって風味が異なる。

 調味料は人の味覚などに働きかけ、食べもの風味を引き立ててきた。中でも、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味とある基本味のうち、主に酸味の部分を担い続けてきた調味料といえば「お酢」だ。

 小皿にお酢を垂らすのは餃子を食べるときぐらいで、同じ使い方であれば醤油よりも頻度は低い。だが、すし、酢あえ、酢漬けと、混ぜたりあえたりする料理で、酢は大切な役目を果たしてきた。「食べものを締めたい」あるいは「保たせたい」といった人びとの求めに長らく応えてきたのだ。

 今回は、そんな調味料の名脇役ともいえる「お酢」をテーマにしたい。前篇では、日本におけるお酢の歴史を追い、調味料としての役割をいかに果たしてきたかを見ていく。そして後篇では、近年、注目が集まっているお酢と健康の関係について、210余年にわたりお酢を造り続けてきた企業の開発技術担当者に、見えてきたお酢のさまざまな効果を聞くことにする。

酒づくりの“先”にお酢がある

 お酢は「苦酒、加良佐介(からざけ)」とも呼ばれ、酒造りとの関わりがとても深い。大まかにいうと、酒の延長線上にお酢がある。穀物などを発酵させて酒を造り、そこに酢酸菌を含む「種酢」を加えてさらに発酵させるのだ。アルコールが分解されていくとともに酢酸が増えていき、さらに熟成させると風味の立つお酢になる。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。