塩鮭とコーヒー? 相性の良さを味覚センサーが発見

多様化する味のニーズも味覚のデータの可視化で解決

2017.08.11(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

「島根県では、味覚センサーのデータを地元の名産品のパンフレットに掲載して、製品の特徴を紹介しています。関東や関西の流通小売りのバイヤーに製品の特長が分かりやすいと好評です。客観的なデータがあると製品の味を効果的に伝えることができます」と池崎さんは言う。

「肉料理には赤ワインが合う」とよく言われるが、味香り戦略研究所(東京都中央区)の研究により、その理由が味覚センサーの測定から明らかになった。赤ワインの渋味は肉のうま味を洗い流す効果があるために、肉をおいしく食べ続けることができるのである。

 ほかにも、広島県の食品工業技術センターでは、地域特産品であるお好み焼、焼きがき、かきフライ、もみじ饅頭に合う日本酒の開発に味覚センサーが活用されている。また、イカのするめも白ワインより日本酒と相性がいいことが、同じく広島県にある酒類総合研究所によって示された。

 こうした食べ合わせを味覚センサーで検証していくと、相性のいい食べ物の組み合わせのパターンが分かってくる。食べ物の味わいを分類していき、同じパターンの組み合わせや補完しあうパターンの組み合わせの食べ物は相性がいいのである。塩鮭と酸味の強いコーヒーの相性がいいなど意外な組み合わせが、ユーシーシー上島珈琲の成果として見つかった。

「味物質の種類は多く、食べ方により組み合わせもさまざまなので、高精度な測定にはまだ改良が必要」と池崎さんは言うが、複雑な味を客観的に評価できるようになったのは大きな進歩だ。その成果は製品開発に応用できるばかりでなく、味覚の理解につながってきたことは興味深い。

 近年、味覚の生理的な解明も進んでおり、その知見と合わせて味覚センサーがどのように発展していくのか、今後が楽しみだ。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。


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