塩鮭とコーヒー? 相性の良さを味覚センサーが発見

多様化する味のニーズも味覚のデータの可視化で解決

2017.08.11(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

味を測る“ものさし”を開発

 味覚センサーとは、味覚を測定する装置である。人間の舌を模倣した人工の脂質膜と電極でできたセンサーを試料に浸した後、膜で起こる電位の変化量を測定する。これにより食品の味を数値で示すことができる。味覚センサーは、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味、渋味、それに後味を測定することでコクやキレ、さらに味の相互作用を評価できる。また得られた数値データをグラフにすることで食品の味の特徴を表現することもできる。

 味覚は、食べ物に含まれている味物質を認識することで引き起こされる感覚だ。複雑で感じ方の個人差も大きいので、客観的な評価は難しいと考えられてきた。

「優れた感覚をもつ検査の専門家でも、多様な味の好みにすべて対応することはできません。そこで、味を客観的に評価できる共通のものさしが必要と考えたのです」と池崎さんは話す。

味覚センサー「TS-5000Z」。(画像提供:インテリジェントセンサーテクノロジー)

 これまで、食品メーカーは人の官能による評価を頼りに味を決め、製品を開発してきたが、それには手間もコストもかかる。

「もちろん官能評価は必要ですが、味覚センサーで目標とする味を数値化すれば、それを指標にすればいいので開発にかける時間やコストを削減できます」

 先に挙げた糖質をカットしたお菓子の開発にも、味覚センサーが使われている。たとえば、どら焼きは通常品と材料が全く違うので、これまでの製造の経験や勘を生かすことは難しかった。そこで、味覚センサーで測定した通常品の味と比較しながら試作が行われた。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。


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