ソウルで行われたG20首脳会議が先週終わり、続いて横浜で開催されたAPEC首脳会議が14日に閉幕して、この1週間は比較的穏やかに過ぎたという印象を受ける。
円安、株高で日本経済は安定に向かうのか
例えば、円高の流れ。
一時は速いペースで円高が進み、対ドルで1995年につけた過去最高値の1ドル79円75銭を一気に超えるのではないかと思われていた円~ドルレートは、わずかながら円安基調になり始めている。
それに呼応して週末には日経平均株価も1万円台を回復した。
内閣府は15日、7~9月の第3四半期の実質国内総生産(GDP)の伸び率が当初の予想(0.6%)を上回る0.9%、年率換算では3.9%になったと発表。
米国ではゼネラル・モーターズ(GM)が18日に再上場を果たし、取引初日の終値は売り出し価格を3.6%上回った。
混迷する世界経済が一息ついたようにも見えなくもないが、残念ながら現実はそんな甘い期待通りには行きそうもない。
ベン・バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は19日金曜日、ドイツのフランクフルトで講演し、「国際通貨体制は構造的な欠陥を抱えてしまった。体制自体の見直しが必要だ」と指摘した。
明らかに独自の為替政策を採る中国を念頭に、今のままで何も対策を打たなければ世界経済は深刻な危機に陥る危険性があると言うのである。
FRBが踏み切った第2弾の量的緩和(QE2)を正当化したいという意図もあるだろうが、QE2が実行に移されたいま、何の対策も打たなければ世界経済の歪は広がる一方なのも事実。