過去2週間に日本と北米を2度も往復してしまった。先週のワシントン出張に続き、今週はカナダのハリファクスという町だ。
北大西洋条約機構(NATO)諸国を中心に世界三十数カ国の安全保障専門家が集まる国際フォーラムに呼ばれたからである。歳のせいか、時差ボケが昔よりずっと身に堪える。
欧米、中東などの政治家、政府高官、学者が出席する国際会議だったが、アジアからの参加は日韓、モンゴルなどで、中国からの出席者は1人もいなかった。
議題もNATO戦略の将来やアフガニスタンでの活動などが中心で、「中国の台頭」を正面から取り上げるセッションはない。
やはり、欧州諸国にとって中国は喫緊の「安全保障」上の問題ではないのだと痛感する。それに対し、米国からの出席者は中国の台頭を含むグローバルな安全保障問題について語ろうとしていた。
米国と欧州の専門家の間の中国に対する認識のギャップは想像以上に大きいようだ。
というわけで、欧州諸国の「中国観」の変化に関心を持って参加した筆者の期待は見事に裏切られた。
だが、その会議出席中にiPadでネット上のニュースを覗き見していたら、中国のサイトに日本の若手政治家に関する興味深い論評を見つけた。今回はこの話を取り上げたい。
日本の若手政治家を警戒する中国
「日本の若手政治家の台頭と誤判、その対中外交の軽率さ(日本政坛少壮派的崛起与误判 对华外交轻率鲁莽)」と題された11月8日付の論評は人民日報系の人民網が配信したもので、中国の各種サイトでも広く掲載されている。
元々は人民網日本語版に11月5日付で掲載された日本語バージョンが基になっているようだ。両者の論調は微妙に異なるものの、前原誠司外相など若手政治家の対中姿勢を厳しく批判する点ではほぼ共通している。