どれもこれも厄介な問題である。1つだけでも大変なのに、3つが同時にしかもお互いに連携し合って襲いかかってきた。日本は絶体絶命のピンチに追い詰められたようだ。これまでのような問題先送りや小手先の対症療法では火に油を注ぐ危険性がある。
那覇地検、独自の政治判断で船長を釈放
しかし、どうしても小手先の対症療法に走りたいようである。那覇地検は24日に突然、中国漁船の船長を釈放すると発表した。日本国民と日中関係に配慮した結果だという。
政府は今回の決定に政治介入しておらず、純粋に検察庁の判断であるとしているが、誰が決断しようとも対外的にはその差はほとんど意味を持たない。
世界から中国政府は一貫して方針を貫き、日本は圧力に屈したと取られるだけである。
JBpressで「中国株式会社の研究」を既に77回連載している宮家邦彦さんは最新の記事「小泉時代の比ではない、日中関係最大の危機」の中で、今回の事件は小泉純一郎元首相時代をはるかに上回る険悪な日中関係になってしまったと書いている。
その理由を次のように説明する。
「第1に、靖国参拝問題が小泉首相個人の信条の問題であったのに対し、今回は日本の司法権の独立そのものが問われている」
「第2に、小泉政権時代の焦点が歴史認識であったのに対し、今回の焦点は日本が法治国家であるか否かだ」
つまり個人的な問題か民主主義で法治国家の日本の根幹に関わる問題かの違いなので、「今回のような事態は長い日中関係の歴史の中でも前例のない解決困難な事件となる可能性が高い」と見ていた。