先週末、北京郊外の盧溝橋を訪れた。抗日戦争記念館で開催される日本人漫画家作品展の開幕式を見に行ったのだ。北京に着いたのは9月17日、翌18日には例の尖閣問題で日本大使館などに対する抗議デモが予定されていた。
まさに、飛んで火に入る夏の虫である。
ちなみに、この漫画展、ちょっと普通ではない。ちばてつやさん、森田拳次さんなど日本の著名な漫画家が1945年8月15日の追憶をテーマに描いた漫画百数十点を展示するものだ。
当時の日本庶民の、軍国主義でも反戦でもない、戦争に対する真情が伝わる見事な作品ばかりである。
元々は昨年8月15日から南京にある「虐殺記念館」で開催されたものだ。好評を博したので今回北京の記念館でも開催が決まったという。
作家の石川好さんの音頭で始まったこのイベント、地道ながらも中国人の琴線に触れる、実に内容の濃い試みだと思っている。
中国軍の独自の動き
せっかく北京に戻ったのだから、9月17日の午後は約半年ぶりで街を歩いてみた。尖閣事件発生直後の先入観かもしれないが、北京の表通りを歩く中国人たちの服装は年々小奇麗になり、誰もが自信に満ち溢れているように見えた。
10年前の大使館勤務時代には想像もしなかった変化である。
自信満々といえば中国政府も同じだ。特に本年1月以降はそれが著しい。対台湾武器供与発表後に米中軍事交流を凍結、南シナ海で南沙諸島を巡りベトナムやフィリピンなどと対立、黄海での米韓合同軍事演習への米空母参加に強硬に反対、インドとの軍事交流凍結など、数え上げたらキリがない。
現地の友人によれば、最近の人民解放軍関係者の政治的発言について、共産党中央幹部は懸念を深めているという。解放軍幹部が不規則発言を行う目的は、主として軍事予算の獲得と政治的注目を集めるためだそうだ。