韓国とブラック企業、このキーワードが重なったのが大きかったようだ。今週の1位は1月15日公開のアン・ヨンヒさん「恐れを知らぬ韓国のブラック企業とブラック住人」がトップに輝いた。
ユニクロ"残酷工場"にも非常に高い関心
38歳で実質定年を迎えるとも言われる韓国社会が日本以上に厳しいことはよく知られており、記事にあるような企業の労働搾取はある程度想像できる。
それでもこの記事がよく読まれたのは、「韓国よお前もか」という、国を問わず共通した社会問題に対する関心の高さではなかろうか。
東洋経済オンラインの1月16日配信記事「ユニクロ"残酷工場"で何が起きているのか」も非常によく読まれているようで、ブラック企業に対して、社会は非常に厳しい目で見るようになっている。
かつて日本では、企業はきちんと監視しておかなければ法の目をすり抜けたり、分からないように法を犯して利益を得る存在である、というのが半ば常識だった。
私も記者として駆け出しの頃はよく先輩に言われたものである。
しかし、日本が高度成長期の「安くて良い製品を大量に」から「高くても付加価値の高い製品へ」と構造転換が図られる中で、そうした"常識"は薄れていった。
実際、企業を記事として取り上げる大手経済メディアに長年在籍してきた経験から感じるのは、バブルが崩壊した1990年以降、それ以前と比べて企業の不正を叩く記事が少なくなってきたことだ。
社員を単純作業をこなす労働力としてしか扱えない企業は競争力を失い、逆に社員のモラールを高め知恵を引き出す企業が競争力を増した。
そうした変化が起きていた中では企業の不正に目を光らす記事が減るのは当然の結果だったのかもしれない。
しかし、長引くデフレと国際化によって"過去の遺物"が蘇ってきた。それが昨今、批判にさられているブラック企業なのだろう。社会の変化が創り出した産物とも言える。
米ゼネラル・エレックトリック(GE)は、同社が大きな問題を引き起こしたとき、就任3年目だったジャック・ウエルチ元最高経営責任者(CEO)が断行した経営方針の転換によって、世界の最優良企業の名を得たと言っても過言ではない。
世界的名経営者とは世の中の変化に最も敏感な動物なのだと思う。