10月1日の首相判断を前に、早くも増税決定を先取りする動きが活発になってきた。日本政府はアベノミクスの効果を上げる目的で、賃金を5%以上引き上げた企業に対して法人税の減税措置を実施しているが、9月12日には2~3%の賃上げを行った企業にも拡大する方針を示したのもその1つだろう。
賃上げ企業に減税するなら子供のために
個人的には、増税の決定より先に社会保障費など歳出削減の根本策を示して、これからの日本が進むべき道を明らかにすべきだと思う。増税が先では大胆な歳出削減ができずに終わるのは目に見えている。
しかし、この問題には触れない。
せっかく賃上げした企業へ減税措置を講じ始めたので、今回は日本経済の成長を妨げる根本原因の1つである少子高齢化対策をその中に含めてはいかがだろうか、という提案をしたい。
賃上げの方法は、従業員一律に給料を上げるケースや手当てを上積みする方法など企業によって様々だ。その際、子供手当てを厚くする企業により多く減税するというのはどうだろう。
日本企業は経営を年功序列・終身雇用の日本型から米国型に切り替えてきた過程で、様々な手当てを廃止してきた。配偶者手当や子供手当てはその最たるものだろう。
結婚していない社員、子供のいない社員にも平等にという精神は分かるが、そうした目の前の平等よりも日本の将来のために少しでも貢献しようという考えがあってもいいのではないか。
実は、最近になって子供手当てを大幅に増額した企業がある。「お~いお茶」の伊藤園だ。創業者の長男である本庄周介副社長は次のように話す。
「世の中の動きに逆行しているとの批判があるかもしれない。しかし、日本の大きな問題である少子高齢化に企業が少しでも協力することは、日本の企業として当然の責務と考えました」