ハマる人が続出中、「再現レシピ」の不思議な魔力

忘れられないあの一皿が現実のものに

2013.09.06(Fri) 麻生 千明
筆者プロフィール&コラム概要

 アニメ「はじめ人間ギャートルズ」で、クロマニヨン人のゴンやゴリラのドテチンが大きな口をあけて齧(かじ)りついた骨付き肉を覚えている人は多いだろう。突き抜けるような青空の下、たき火で炙られてジュージューと音を立て、滴り落ちる肉汁・・・。

 絵本『ぐりとぐら』(福音館書店)に登場する、黄金色にまんまるで、それでいてふわふわと柔らかそうな、フライパンいっぱいに膨らんだカステラを思い出す人もいるかもしれない。

 「ああ、どんな味がするんだろう? 一度でいいから食べてみたい――」

 じわりと出てくるよだれを飲み込みながら、そんな思いを抱いた方は多いのではないだろうか。世代によって流行った漫画やアニメに多少の違いはあっても、誰にでも一つや二つ、胸に残る料理はあるものだ。

 そうした料理を食べてみたいと願いつつも、その幼い頃の願望は夢のまま、大人になるにつれ忘れてしまう。ところが、そうした憧れで終わっていたアニメ料理がいま、ファンによって命を吹き込まれ、「再現レシピ」という呼ばれ方で、YouTubeやブログで公開され好評を得ているのだ。

アニメの中のメニューが現実に

 試しに「ラピュタパン」と検索してみる。ラピュタパンとは宮崎駿監督の1986年公開の映画「天空の城ラピュタ」に登場する料理で、トーストの上に目玉焼きを乗せただけのごくシンプルな料理。しかし、作中で主人公の2人が食べるシーンが評判で、投稿レシピのクックパッド内だけでも約50もの検索結果が現れる。

 再現されるレシピは簡単なものだけではなく、なかにはとても手の込んだものもある。

 ニコニコ動画で紹介された同じく「天空の城ラピュタ」に登場する「ドーラのハム」と呼ばれるレシピは、材料に約2キログラムの豚ロース肉と様々なスパイスを必要とし、調理工程も「1週間の熟成に燻製、さらに低温殺菌」を要するなど、かなり本格的だ。この再現レシピは調理の紹介が丁寧なこと、作られたハムが美味しそうなことからツイッターなどを中心に瞬く間に拡散し、動画の再生回数は一気に5万件を超えた。

 再現レシピを検索して思わず「この料理が作れちゃうの!」と驚く人もいるだろう。中には「あった、あった! こんな料理!」と懐かしのメニューを前に思わず微笑んでしまう人もいるかもしれない。幼い頃の憧れ料理に昔の自分も思い出されて、見ているだけでわくわくしてしまう。

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