ミスターテキスタイルこと森本喜久男さん、ミスターペッパーこと倉田浩伸さん・・・。急速な発展を続けているカンボジアには非常にユニークな日本人が数多く活躍している。今回は森本さんや倉田さんのように自らビジネスを立ち上げたわけではないが、日本とカンボジアの友好関係にとって欠かすことのできない人を紹介したい。

カンボジアと日本企業の架け橋

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順位 タイトル
1 本当に勝った政党はなかった
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5 蘇った自民党、アジアで直面する試練
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7 世界最大のEMSフォックスコンの未来
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9 中華民族復興への険しい道のり
10 中国から見た安倍政権、意外な秋波
11 米国大使館秘密電報が暴く共産党トップの派閥活動
12 東大まで「ゆとり」でダメにするのか?
13 中国の輸入急増で穀物の国際市場に大異変
14 衰退が予想される電子書籍リーダー端末の市場
15 安い衣料品のためにバングラデシュの工場が払う犠牲
16 バングラデシュ人と日本人の意外な共通点
17 2013年の中国経済はどうなるのか
18 日本のLNG調達、価格設定に重大な変化
19 ショッピングはもう古い?アメリカで拡大する「貸し借り」サービス
20 回復が見えないブラジル経済

 大野晴生さん。王立プノンペン大学の中にあるカンボジア日本人材開発センター(CJCC)でコンサルタント兼広報・交流担当を務めている。

 カンボジアで何らかのビジネスを始めた人、これから始めようと考えている人で大野さんを知らなければ、恐らくもぐりに違いない。

 それほどまでにカンボジアに深く食い込んでいて、何をやっても、どこかで必ず大野さんにつながっていく。だから、カンボジアで仕事をしている日本人はほとんど大野さんと知り合いになる。

 広報という仕事は成果が見えにくい、ある意味非常に難しい職種だが、長年記者をやってきて、できる広報とそうでない広報の見分け方には自信がある。

 1つの極めて簡単な方法は、所属している組織に愛があるかどうかである。その典型例を大野さんに見ることができる。何しろカンボジアが好きで好きでたまらないのだ。

 毎日朝早くからトゥクトゥク(客車のついたバイク)で精力的に企業を回り、夜は必ずと言っていいほどカンボジアに進出してきた日本の若者たちとカンボジアビールを飲みながらカンボジア料理に舌鼓を打ち語り合う。予算は1人約5ドル(400円)だ。

 「学生のときにマレー鉄道に乗ったのがきっかけで、アジアの魅力に引き込まれてしまいました。就職も絶対にアジアで仕事ができる会社と決めていたんです」

 大野さんは東京大学法学部を1996年に卒業、大手ガラスメーカーに就職する。当時、取引先の自動車メーカーなどがアジア進出を加速させており、アジアで仕事ができると思ったからだ。