ミスターテキスタイルこと森本喜久男さん、ミスターペッパーこと倉田浩伸さん・・・。急速な発展を続けているカンボジアには非常にユニークな日本人が数多く活躍している。今回は森本さんや倉田さんのように自らビジネスを立ち上げたわけではないが、日本とカンボジアの友好関係にとって欠かすことのできない人を紹介したい。
カンボジアと日本企業の架け橋
大野晴生さん。王立プノンペン大学の中にあるカンボジア日本人材開発センター(CJCC)でコンサルタント兼広報・交流担当を務めている。
カンボジアで何らかのビジネスを始めた人、これから始めようと考えている人で大野さんを知らなければ、恐らくもぐりに違いない。
それほどまでにカンボジアに深く食い込んでいて、何をやっても、どこかで必ず大野さんにつながっていく。だから、カンボジアで仕事をしている日本人はほとんど大野さんと知り合いになる。
広報という仕事は成果が見えにくい、ある意味非常に難しい職種だが、長年記者をやってきて、できる広報とそうでない広報の見分け方には自信がある。
1つの極めて簡単な方法は、所属している組織に愛があるかどうかである。その典型例を大野さんに見ることができる。何しろカンボジアが好きで好きでたまらないのだ。
毎日朝早くからトゥクトゥク(客車のついたバイク)で精力的に企業を回り、夜は必ずと言っていいほどカンボジアに進出してきた日本の若者たちとカンボジアビールを飲みながらカンボジア料理に舌鼓を打ち語り合う。予算は1人約5ドル(400円)だ。
「学生のときにマレー鉄道に乗ったのがきっかけで、アジアの魅力に引き込まれてしまいました。就職も絶対にアジアで仕事ができる会社と決めていたんです」
大野さんは東京大学法学部を1996年に卒業、大手ガラスメーカーに就職する。当時、取引先の自動車メーカーなどがアジア進出を加速させており、アジアで仕事ができると思ったからだ。