市場調査会社の米IHSアイサプライがまとめた推計によると、米アマゾン・ドットコムの「キンドル(Kindle)」や、米バーンズ&ノーブルの「ヌック(Nook)」、カナダ・コボ(Kobo)のような電子書籍リーダー専用端末の市場は、早くも衰退に向かっているという。

2016年にはピーク年の3割程度に

アマゾンの電子書籍端末「キンドル」、中国のネット規制すり抜ける

アマゾンの「キンドル」(写真)などのリーダー端末の売れ行きは昨年がピークだった?〔AFPBB News

 同社は今年のリーダー専用端末の年間出荷台数が1490万台となり、昨年の2320万台から36%減少すると見ている。また来年になるとさらに27%減少し、4年後の2016年には710万台にまで落ち込むと予測している。

 先頃米IDCが公表したデータを見ても、昨年2770万台だった出荷台数は今年1990万台と大きく減少する見込み。両社の数値には500万台ほど違いがあるものの、今後の傾向に関しては見解が一致しているようだ。

 2006年まではまだ一般的に知られていなかった電子書籍リーダー端末は2008年から爆発的に売れ始めた。2008年から2010年の2年間で出荷台数は10倍へと急成長し、昨年はその2倍以上を出荷している。

 リーダー端末は今後もさらに伸び続けると予想されていたが、IHSアイサプライによると、ここに来て失速した。同社のアナリストは「おそらく昨年がピークだったのではないか」と話している。

 電子書籍端末は、わずか数百グラムの手のひらサイズの本体に数千冊もの本を入れられ、どこにでも持ち歩き、好きな時に本が読める。こうした特徴が画期的で、次世代を感じさせると脚光を浴びたが、それも今は昔。その後に現れた米アップルの「アイパッド(iPad)」のような多目的タブレットの普及で、リーダー端末はその役目を終えることになるという。

国内でも書籍端末として注目されるタブレット

 IHSアイサプライによると、このように単一目的の製品がその後登場した多目的製品に容赦なく消されていくのは消費者向けエレクトロニクス市場ではよくあること。しかしリーダー端末のように、急速に普及し、あっけなく消滅する製品はこれまでに例がないという。

 例えばデジタルカメラや、携帯音楽プレーヤー、カーナビゲーションシステムなども同様の問題を抱えているというが、リーダー端末に比べれば寿命は長い。