12月16日総選挙の結果、安倍晋三元首相の総理大臣返り咲きが確実となった。26日召集の特別国会で首班指名を受け、同日中に新内閣が発足する見込みだ。こうした動きを中国側は一体どう見ているのだろうか。

 日本では中国側の強硬論が盛んに報じられ、13日には尖閣列島上空の「領空侵犯」事件も起きた。中国側は日本の新政権とどう付き合おうとしているのだろう。今回は「共産党派閥の研究」をお休みして、様々な公開情報の中から中国側の本音を探ってみたい。

外交部報道官の公式見解

尖閣問題「交渉の余地ない」、安倍総裁会見 経済再生を約束

衆院選で大勝した自民党の安倍晋三総裁〔AFPBB News

 総選挙の結果を受け、中国外交部報道官は12月17日、次の通り述べた。まあ、こう言っては身も蓋もないのだが、基本的に従来の公式見解の枠を出ず、いくら読んでも行間からは何も見えてこない。これだから役人が作る文章は面白くないのだ、とつくづく思う。

●中日両国は互いに重要な近隣国であり、2006年には中日戦略互恵関係の構築について合意した。

●中日両国が平和的で安定した協力関係を維持することは両国の利益であるだけでなく、アジアの平和的発展にとっても必要だ。

●中国は日本の対中政策の方向を重視している。(・・・しており、摩擦や溝をしっかりと管理・コントロールし、処理することを一貫して主張している。12月19日の追加報道

●日本側が両国間の困難や問題を深く認識し、適切に処理し、中日間の4つの政治文書の確定した原則と精神に照らして両国関係の健全で安定した発展を促すことを希望する。

●中国は日本の発展の方向も強く注視している。日本が引き続き平和的発展の道を歩み、地域の平和・安定・発展に建設的役割を果たすことを希望する。

 唯一興味深いのは、上記3項目の青字部分だ。人民網日本語版が12月17日に報じたバージョンにこの部分を、なぜか19日になって、追加している。どうやら中国側が強調したいキーワードは問題を「しっかりと管理・コントロールし処理すること」のようだ。

人民日報の論評

 外交部発表では埒が明かないので、今度は人民日報を読んでみよう。国際論壇を見ると12月17日午前4時45分付で「日本当局は『ごたごた』をどう収拾するか(看日本当局怎样收拾“烂摊子”)という評論があった。その要旨(中国語日本語)は次の通りだ。