NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアは2022年1月に経営統合した。特筆すべき点は、法人向けの事業を「ドコモビジネス」のブランド名でNTTコミュニケーションズに集約したことだ。3社の機能を再編・融合することで、企業のDX支援を総合的かつワンストップで行うという。すでに好事例も生まれている。NTTコミュニケーションズ 常務執行役員 ビジネスソリューション本部長の小島克重氏に聞いた。
総力特集「大変貌!DXパートナー企業の“今”」
DXを進める上で欠かせないのが、コンサルティングファームやITサービス企業といったパートナー企業の存在だ。今、そのパートナー企業たちが変貌しつつある。DXを支える側の企業は今、何を考え、どう変わろうとしているのか? 各社の特徴はどこにあるのか? 主要各社の責任者をインタビューしていく。
■第1回 NEC
■第2回 NTTデータ
■第3回 電通グループ
■第4回 ベイカレント・コンサルティング
■第5回 KPMGコンサルティング
■第6回 日本IBM
■第7回 EYストラテジー・アンド・コンサルティング
■第8回 アビームコンサルティング
■第9回 TIS
■第10回 PwCコンサルティング
■第11回 デロイト トーマツ コンサルティング
■第12回 アクセンチュア
■第13回 ボストン コンサルティング グループ
■第14回 NTTコミュニケーションズ ※本稿
■第15回 BIPROGY
■第16回 日立製作所
■第17回 富士通
■第18回 KDDI
グループ3社を再編、法人事業を強化
——2022年1月に、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの3社が統合し、新しい法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開されています。どのような狙いがあったのでしょうか。
小島克重氏(以下敬称略) 大きな目的は、3社の機能を融合することで、ワンストップかつスピーディーにサービスを提供することです。
これまで、NTTドコモ(以下ドコモ)はモバイル通信やIoT、NTTコミュニケーションズ(以下NTTコム)は企業向けネットワークやデータセンター、クラウドなどを活用したソリューション、NTTコムウェア(以下コムウェア)はソフトウエアと、それぞれ特色のあるサービスを提供していましたが、お客さまにとってはばらばらであったことは否めません。これらを一体化することで、大企業から中小企業、そして大都市中心から全国エリアまで、幅広いお客さまに付加価値の高いサービスを提供できる体制が整ったと自負しています。
具体的には、大企業のお客さまには、NTTコムのソリューションに加え、ドコモのIoTや高速通信の5G、次世代通信規格の6Gなどのモバイルソリューション、コムウェアのソフトウェア開発力が提供できます。
中小企業のお客さまには、ドコモショップや全国の代理店等も活用することで、全国エリアでFMC(固定電話と携帯電話の融合)やSASE(セキュリティ機能とネットワーク機能を1つのクラウドサービスに統合すること)などの通信/ITソリューションに加えて、業種業界別のソリューションも提供可能となります。
3社の統合に伴い、組織も大幅に再編しました。ドコモ、NTTコム、コムウェアの3社は企業としては存続していますが、ドコモから約6000人、コムウェアから約400人がNTTコムに合流し、法人向けの事業に携わる従業員はほぼ全てNTTコムに集約しました。
統合から約2年になりますが、一体感が醸成され、前職を問わず積極的に意見やアイデアを出し合っています。
——DX支援に対するニーズも高まっています。ドコモビジネスでは、どのような体制で、そのニーズに応えるのでしょうか。
小島 NTTグループでは、中期経営戦略として、ICTによって社会課題を解決する「Smart World」の実現を掲げています。取り組みを強化するために、NTTコムでも、2021年7月に「スマートワールドビジネス部」を設立しました。
同部を中心に、NTTコムではスマートワールド実現に向けた注力領域を「スマートシティ(都市DX)」「スマートカスタマーエクスペリエンス(顧客接点DX)」「スマートエデュケーション(教育DX)」「スマートヘルスケア(医療・ヘルスケアDX)」「スマートインダストリー(製造業DX)」「スマートモビリティ(モビリティDX)」「スマートワークサイト(建設DX)」「スマートワークスタイル(ワークスタイルDX)」の8つに定め、各領域のDXを推進しています。
取り組み領域を産業別に分けることで、世の中の変化をいち早く捉えるとともに営業部門とSE部門が一体となって1つのチームで迅速に対応しています。