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 一口に「デジタル化」といっても、その中身はさまざまだ。請求書のペーパーレス化、顧客窓口でのAI活用、アプリと最先端テクノロジーを掛け合わせ、ライドシェアのような新しいビジネスモデルを構築することが「デジタル化」と一括りにされることもあるが、本来はまったくレベルが異なる。デジタル化の最終目標であるDXを目指す多くの企業にとって、そこへ到達するまでのプロセス、各レベルで求められる施策を把握できれば、「デジタル化」への理解が深まり、より戦略的に、そして着実に変革を推し進められるのではないか。

 本連載では、『世界のDXはどこまで進んでいるか 』(新潮社)の著者・雨宮寛二氏が、国内の先進企業の事例を中心に、時に海外の事例も交えながら、ビジネスのデジタル化とDXの最前線について解説する。連載第1回となる今回は、自動販売機と健康アプリを組み合わせた新しい価値の提供などでDXを推進するサントリーの事例を紹介する。

<連載ラインアップ>
■第1回 「やってみなはれ」、サントリーが挑むDXと新浪社長が目指す生成AIの活用とは(本稿)
第2回 ファストリ、デジタル化でサプライチェーンを“完全可視化”する本当の狙い
第3回 AIとデータ活用で何を実現?リクルートが目指す新たなビジネスモデルの真価
■第4回  イオン、ライオン、楽天・・・先進企業による「デジタル物流改革」の最前線


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デジタル化で求められる3つの変革プロセス

 企業変革が求められる現代において、その変革は、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」(DX)へと進化を遂げています。それぞれの変革プロセスには、異なる施策と戦略が存在し、それに沿って最終的な目的が達成されることになります。

 その変革を個別に検証してみると、デジタイゼーションは、「ツールのデジタル化」として位置づけられ、単純なアナログからデジタルへの置き換えに始まり、ツール・ソリューションやIT基盤・システムの導入などの施策により、業務改善や効率化、コスト削減などが達成されることになります。

 デジタライゼーションは、「プロセスのデジタル化」として位置づけられ、デジタルバリューチェーンの構築に加えIoTソリューションやデータオプスなどの施策により部分最適化が図られ、付加価値の向上により競争力が強化されることになります。

 DXは、「ビジネスのデジタル化」として位置づけられ、企業には、エクスペリエンス戦略、データドリブン戦略、ヒューマンスキル戦略、アジャイル戦略の4つのアプローチが求められることになります。これらの戦略的アプローチをとることで、全体最適化による新たな価値の創造が図られることになります。

 本連載では、デジタライゼーションとDXの事例を取り上げながら、具体的に役立つためのプロセスやビジネスのデジタル化の今を考察していきます。