DXを推進するには、経営者も含めたDX人材の育成が必要不可欠である。そこで、国は年間45万人のDX人材育成を実現すべく、「デジタルガバナンス・コード」や「デジタルスキル標準」などのガイドラインを策定し、後押ししている。リスキリングの促進や実践的な学びの場の創出、能力・スキルの見える化を実現するためのデジタルスキル標準を策定した経済産業省の内田了司氏に、同ガイドラインの活用方法も含め、DX人材育成に必要な取り組みを聞いた。
DX戦略を描き、必要なDX人材を「定義・分類」する
「DX人材の育成は3つのステップで進めることが望ましい」と内田氏は言う(下の図)。
・〈STEP1〉自社のDX戦略を踏まえて、DX推進に人材必要な人材を分類・定義
まず、DX戦略を描くことが大前提となる(DX戦略の策定においてはDX経営の要諦集とも称される「デジタルガバナンス・コード」や、優れたDXの取り組みを行っている企業を選定した「DX銘柄」などが参考になる)。
DX戦略が描けたら、実現に必要な人材やスキルを定義していく。例えば、外国人向けアプリの開発をするのであれば、外国人が好むアプリのUI(ユーザーインターフェイス)/UX(ユーザーエクスペリエンス)を理解している人材やアプリ開発を行えるエンジニア、といった具合だ。
だが、新規事業のようにこれまで取り組んだことがないことの場合はどのような人材やスキルが必要なのかを定義するのは、たとえ大企業であっても簡単なことではない。
デジタルスキル標準(以下、DSS)は、まさにこのような背景から策定されたガイドラインである。
これは「DXリテラシー標準」「DX推進スキル標準」の2つから構成されており、DX人材やスキルの定義においては後者の「DX推進スキル標準」(企業がDXを推進する専門性を持った人材を育成・採用するための指針)が活用できる。
DX推進スキル標準では、人材については「ビジネスアーキテクト」「デザイナー」「ソフトウェアエンジニア」「サイバーセキュリティ」「データサイエンティスト」の5つを定義している。