デジタルで顧客のビジネスに新しい価値をもたらす「Lumada(ルマーダ)」事業が好調な日立製作所。2021年には米国のIT企業GlobalLogic(グローバルロジック)を買収。2022年にはグループのデジタル戦略の司令塔となる日立デジタルを発足させるなど、体制強化・拡充にも余念がない。ミッションクリティカルな社会インフラを支えるシステムやプロダクトの開発を得意としてきた日立が描くDX支援ビジネスのこれからについて、日立デジタルのCEO、谷口潤氏に聞いた。
“産みの苦しみ”に機会と課題がある日本のDX
——谷口さんは、日立製作所のデジタルエンジニアリングビジネスユニットのCEOと2022年に発足した日立デジタルのCEOを兼務されていますが、どのような役割を担っているのでしょうか。
谷口潤氏(以下敬称略) 日立デジタルは米国・シリコンバレーに拠点を持ち、事業そのものを走らせるのではなくて、日立グループ全体のデジタルビジネスの戦略の立案と推進役を担っています。
日立には、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズ、デジタルシステム&サービス(DSS)という3つのビジネスセクターがあります。最初の2つをOT(オペレーショナルテクノロジー)と呼んでおり、エネルギーや交通、産業ソリューションなど、社会インフラを支えるビジネスを展開しています。
これらのOT事業についても、デジタルで付加価値を高めていくという戦略の下、事業を推進しており、そのオーケストレーターを担うのが日立デジタルというわけです。
一方、日立のデジタルエンジニアリングビジネスユニットでは、DXの中でも上流に位置付けられる、デザイン思考に基づいたサービスやプロダクトの戦略立案支援、課題解決策の提示といったデジタルエンジニアリングのサービスをお客さまに直接、あるいは日立の中に提供する事業を展開しています。
2021年に買収したGlobalLogicもわれわれの管掌範囲の中にいて、戦略と実行の両方を見ることによって、スピード感を持って、日立グループのDXをリードしていくのが私の役割です。