KDDI Digital Divergence Holdingsは、KDDIの中間持株会社として設立され、2022年7月に事業を開始した。大きな特色は、法人企業のDXを支援するDX専業会社であることだ。高速通信規格5Gによる通信の他、ネットワーク、クラウド、さらにはアジャイル開発などの知見を持つグループ内の各事業会社をつなぎ、各社のさまざまな技術を統合する形でDX支援を行うという。どのような体制、手法でDXを支援していくのか。藤井彰人CEOに話を聞いた。
KDDIがDX専業のグループを設立
——藤井さんは、KDDIで長くサービスの企画開発に携わっていますね。現在も、ソリューション事業本部の執行役員を兼任されています。KDDI Digital Divergence Holdings設立までにはどのような経緯があったのでしょうか。
藤井彰人氏(以下敬称略) 私はこれまで長くエンジニアとしての道を歩んできました。2013年4月にKDDIに入社して以降は、法人営業やサービス企画開発本部長なども務めています。
KDDIに入社した大きな理由は、前職のグーグルで、法人向けのクラウド事業の立ち上げに携わった経験から、これからはクラウドによってITのありようが大きく変わると痛感したためです。その上で、日本のITビジネスの変革に貢献できると思い、KDDIにジョインしました。
というのも、当時すでにスマートフォンやクラウドサービスは登場していましたが、まだ緒に就いたばかりで発展はこれからというところでした。クラウドには通信やデバイスが欠かせません。日本では総合的なキャリアがそれを担っています。
ならばここが一番早いと、KDDIの法人部門に加わったのです。入社してからはKDDIのクラウドの事業の立ち上げや商品企画、サービスのプロセス改善、アジャイル企画開発などを進めてきました。
2022年にKDDI Digital Divergence Holdingsが設立され、私が社長に就任しました。当社は、さまざまな企業のDXをサポートすることを目的とし、KDDIがこれまでやってきた取り組みをKDDIの外にも展開できるように、デジタル系のケイパビリティー(能力)を集めて1つのグループにしています。
——KDDI Digital Divergence Holdingsのグループ会社は現在5社あります。それぞれどのような事業を展開していますか。
藤井 KDDI Digital Divergence Holdings設立時のグループ会社は、アイレット、KDDIアジャイル開発センター、KDDIウェブコミュニケーションズ、Scrum Inc.Japan(スクラム)の4社で、2023年3月にFLYWHEEL(フライウィール)が加わり5社になりました。
アイレットはクラウドやアプリの開発に強みがある国内有数のクラウドインテグレーターです。KDDIアジャイル開発センターは、KDDIの中でアジャイル開発を行っていた部署が独立したもので、その名のとおりアジャイル開発に特化した会社です。
KDDIウェブコミュニケーションズはレンタルサーバーやホームページ作成サービスなど、企業が使いやすいITサービスを展開しています。
スクラムは、アジャイル企画開発手法「スクラム」の共同考案者のジェフ・サザーランド博士が米国に立ち上げたScrum Inc.を軸に出資・設立されたもので、スクラム認定資格セミナーの開催、スクラムコーチの派遣などで、企業へのアジャイル開発手法の導入を支援します。
フライウィールは、企業間のデータ連携、データ解析・活用プラットフォームなどに定評のあるスタートアップです。