自家製のソーセージやハムが評判を呼んでいる「デリカテッセン ヤマブキ」、長野産の新鮮な野菜や肉を使ったイタリアンレストラン「Citta Slow(以下、チッタスロー)」、サイフォンで抽出された日本茶やコーヒーが楽しめる「彩本堂」などの店には、地元はもちろん、県外からも多くの人が訪れています。町の未来には明るい兆しが見え始めていると感じています。

 デリカテッセン ヤマブキ、チッタスロー、彩本堂の3店はいずれも、小諸に残されていた古民家を改装し、現代によみがえらせた店です。

 このうち彩本堂は、私が経営する「山翠舎」が内装を手がけました。

 彩本堂の店舗はもともと、日本人形のお店として使われていた古民家で、黒い瓦屋根とグレーの壁、木の梁など、古いものをできる限り生かしています。

 内装で古い木材、つまり「古木(こぼく)」がカウンターの柱や梁、テーブルなどにあしらわれていますし、店の奥には土蔵が組み込まれ、落ち着いて飲み物を楽しめるテーブル席として使われています。

 彩本堂の最大の魅力は、サイフォンを使って丁寧に抽出される味わい深い日本茶やコーヒーなどが楽しめるところ。しかし、この店の魅力は他にもあります。それは古民家と古木が醸し出す、店内の温かい空気です。

 オープンから間もないお店ですが、彩本堂には、何十年も続いてきた老舗と同じ、ゆったりした時間が流れています。