企業の大小を問わずSDGs経営の必要性が叫ばれている昨今、各種メディアで注目されている企業が長野にある。古民家再生で地域活性化を目指す「山翠舎」だ。古民家の解体から、古木の収集・備蓄・整備、さらには単なる販売に止まらず、設計・施工までも手掛けることで再利用を促しながら、地方ビジネスの可能性を広げている。同社では、いかにして古民家・古木から価値を産み出し、地域を活性化しながら、企業としても成長を続けているのか?サステナブルな循環型ビジネスのヒントを見つけたい。
(*)本稿は『‶捨てるもの″からビジネスをつくる』(山上浩明著、あさ出版)から一部を抜粋・再編集したものです。
にわかに注目を集める旧北国街道
長野県小諸市。しなの鉄道線とJR小海線が通る小諸駅を降り、少しだけ東へ進むと、旧北国街道という通りに出ます。
この道は、軽井沢の西にある追分で中山道から分かれ、小諸、上田などを経て善光寺を通り、最後は新潟県までつながっています。小諸は善光寺詣でや商用で行き交う人々の宿場町として、多くの人を集めていました。
また、小諸藩の城下町としても栄えていて、以前は大きな商家が軒を連ねていたのです。そうした古い建物のうちいくつかは今も残っていて、当時の面影を現代に伝えています。そして、この通りを初めて訪れた人の多くは、「雰囲気のある街並みですね」と感心されます。
しかし小諸自慢の旧北国街道も、21世紀に入った頃から、活気を失いつつありました。
小諸市は他の地域と同様に人口減少に悩まされ、2000年には4万6000人以上いた人口が4万1000人台にまで減少。その影響を受け、旧北国街道でもシャッターを下ろしっぱなしの店が目立ってきたのです。
ところが数年前から、オシャレな新店が連続して建ち始め、通りの雰囲気は変わってきました。