私が都知事のときには、30年のローテーションで地区ごとにリフォームをするプランを進めた。渋谷は、リフォームがほぼ終わりつつあり、新しい街に生まれ変わっている。東京駅丸の内口は素晴らしい広場ができ、皇居と対になって東京の表玄関となっている。今から八重洲口側がさらに変貌を遂げる。品川駅と田町駅の間に新駅「高輪ゲートウェイ」ができ、これからさらに開発が進む。

 次は、新宿と池袋のリフォームに着手しなければならないのだが、小池都政からは何のプランも発表されていない。パリを改造したオスマン男爵や関東大震災後の帝都を復興させた後藤新平のようなグランドデザインを持つ都市計画の達人が今の東京には必要である。

 私が辞任後、都市計画が全く進展していないことが悔やまれてならない。このままでは、東京の都市ランキングはさらに下がっていくであろう。

パフォーマンス最優先で乏しい実績

 パフォーマンス、外国語を乱用する口先だけのスローガンで、どれだけ都政が停滞したか分からない。豊洲市場移転、東京五輪競技施設移転などをでっち上げ、多くの関係者に迷惑をかけ、都民の税金を無駄に使ってしまっている。結果は、何もかわっていない。

 コロナ対策も、後手後手に回り、「ロックダウン」や「東京アラート」など意味の無い言葉と対策の連続であった。経済対策にしても、これまで積み立ててきた財政調整基金、つまり貯金の9500億円はほとんど使い切ってしまった。近隣の諸県が羨むように、東京は金持ちであり、休業補償のための感染拡大防止協力金などをふんだんに支給できる。極論すれば、小池都知事の手腕ではなく、潤沢な都の財源のおかげで成果が上がっているのである。ただし、再選後には、財政再建という重い荷物を背負うことになる。

 東京五輪についても、主催都市のトップでありながら、IOCからは十分な情報を提供してもらえず、いつも蚊帳の外の状況である。延期に伴う必要経費は5000億円くらい必要だと私は見積もっているが、この財政難のときに、どうやってそれを調達するのであろうか。

 嘘で始まった小池氏の政治家人生の集大成が、東京都の破綻では話にならない。

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