4月12日、定例会見で記者の質問に答える小池百合子東京都知事(写真:共同通信社)

4年前、JBpressで黒木亮氏が徹底追及した小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑が再び大問題となっている。小池都知事の元側近が月刊「文藝春秋」にて、4年前に都知事自ら隠蔽工作をしていたとの手記を公表したことがきっかけだ。手記によれば、この隠蔽工作により駐日エジプト大使館のFacebookに、小池氏の卒業を認める“カイロ大学の声明文”が掲載された。その結果、小池氏らの目論見通り、疑惑追及の力は失われていったという。小池氏側の工作の実態が明らかにされた今、黒木氏が改めて都知事の疑惑を論じる(JBperss編集部)

「証言」と小池氏・カイロ大学の主張が食い違う理由を解明する

(黒木 亮:作家)

 小池百合子東京都知事の側近といわれた元都民ファーストの会東京都議団政務調査会事務総長、小島敏郎氏が、「大学を卒業していない小池さんは、(カイロ大学の)声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」という衝撃的な告発文を文藝春秋に発表した。小島氏は高い倫理観を求められる弁護士でもあり、告発は非常に重い。

小池都知事による学歴詐称疑惑隠蔽の経緯を告発した元側近の小島敏郎氏(写真:共同通信社)

 これに対し、小池氏は4月12日の定例記者会見で、「カイロ大学が自分の卒業を認めている。卒業を認める資格があるのは大学だけ」と述べた。

 確かに、カイロ大学文学部日本語学科長だったアーデル・アミン・サーレハ氏が、「(小池氏は)1年時にアラビア語を落としているようだが補習でクリアし、4年間で卒業している」と日本のメディアの取材に回答したりしており、同大学が小池氏の卒業を認める姿勢を窺わせる。

 一般の人々にとって、小島氏やかつてカイロで小池氏の同居人だった北原百代氏らの証言と、カイロ大学の姿勢が真っ向から食い違っているのをどう理解したらいいのか戸惑うところだろう。

 結論から言うと、小池氏が持っている卒業証書類は、卒業実態なしでもらえる「complementary certificate」(直訳は「プレゼントの証書」)の可能性があると筆者は考えている。