ウクライナ軍の防空能力が高まっている(写真はHIMARS=高機動ロケット砲システム、米陸軍によるラトビアでの訓練、12月2日撮影、米陸軍のサイトより)

 ウクライナによる地上軍の反転攻勢は、「うまくいかず膠着している」といわれている。

 一方で、「苦しい戦いではあるが膠着はしていない」と言う人もいる。

 ロシア地上軍は東部戦線のアウディウカとバフムトに戦力を集中して攻撃している。それは、戦術などほとんどない肉弾攻撃であり、領土の目標線を確保するために、突撃させられているのである。

 戦闘は、地表の地上戦の戦いばかりではなく、空中戦も行われている。

 その中の戦闘機の戦いについては、JBpress『地上戦から空中戦へロシア軍が戦術変更、困惑するウクライナ軍』(2023.11.23)で述べた。

 今回は、ロシア軍のミサイル攻撃とウクライナ軍の防空、そしてそれらの結果について焦点を当てて解説する。

 まず、ミサイルの種類を詳細に区分して紹介する。

 その理由は、ウクライナ空軍の防空能力が高くなるにつれて、撃墜できるミサイルの種類が多くなっていること、またウクライナの自爆型の無人機や無人艇の攻撃により、ロシア軍がミサイルの発射位置に制約を受けてきているからである。

 ミサイル発射のデータについては、ウクライナ空軍司令部公式HPおよびウクライナ軍参謀部HPを参考にした。