ジャニーズ事務所の記者会見に出席した東山紀之新社長や藤島ジュリー景子前社長らにカメラを向ける記者たち(写真:AP/アフロ)

今まで性加害を知らなかったようなふりして事件を報道

 ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、所属タレントが登場するテレビCMの放送を中止したり、広告契約の更新を見送ったりする大手企業が相次ぐ。そうなれば、自社CMの放送を中止しておきながら、所属タレントの出演するテレビ番組のスポンサーになるなど考えられない。所属タレントのテレビ出演にも影響が及ぶはずだ。

 その一方で、テレビの報道情報番組では、いまさらながらにこの問題を報じている。まるで、いままで何も知らなかったような素振りだ。

 9月21日に定例会見に臨んだ日本民間放送連盟(民放連)の遠藤龍之介会長(フジテレビジョン副会長)は、ジャニーズ事務所が設置した外部専門家による「再発防止特別チーム」が、過去にマスメディアがこの問題を大きく報じてこなかった点を批判していることについて、「『マスメディアの沈黙』と指摘されたことは重く受け止める必要がある」と述べている。そして、こうも言及している。

「過去にジャニー喜多川氏が少年たちに行った数々の行為が、性加害であり、重大な人権侵害であるという認識を民放を含む多くのメディアが十分に持てなかったことは事実で、反省しなければならない」

「人権に関する認識が不足したまま、何らアクションを起こさずに相手とビジネスを続けていたことも含め、今後このようなことを繰り返さないようにしなければならない」

 ところが、民放各社による所属タレントの起用については「それぞれの社が顧みるべきだ」と述べるにとどめた。