9月7日に記者会見したジャニーズ事務所の新社長・東山紀之(左)と前社長の藤島ジュリー景子(写真:REX/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

ジャニーズ事務所会見を見て蘇った、被告となったオウム信者の記憶

 ジャニーズのスポンサー離れが止まらない。

 ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川による性加害問題が発端であることはいうまでもない。所属タレントが登場するテレビCMの放送を中止したり、広告契約の更新を見送ったりする大手企業が相次ぐ。

 日本航空、東京海上日動火災、日産自動車、日本マクドナルド、モスバーガー、伊藤ハム、第一三共ヘルスケア、アサヒ、キリン、サントリー、サッポロ、明治、森永、JCB、花王、コーセーなどなど。このうちサントリーホールディングスの社長で、経済同友会の新浪剛史代表幹事は12日の定例会見で、所属タレントの起用を続けることは「チャイルド・アビューズ(Child abuse=児童虐待)を企業が認めることであり、国際的には非常に非難の的になる」と断言している。

 ジャニーズ事務所が会見を開いたのは9月7日のことだった。都内のホテルに設けられた会見場には、藤島ジュリー景子前社長、東山紀之新社長、ジャニーズアイランド社長であり「V6」の元メンバーの井ノ原快彦、それに顧問弁護士の4人が出席。

 冒頭で藤島ジュリー前社長が、ジャニー喜多川による性加害があったことを認めたうえで謝罪。社長を引責辞任したことを発表。被害者への補償・救済と心のケアに取り組む姿勢を示すと、新社長に就任した東山からも謝罪と年内で芸能活動を引退するとの発言があった。

「今後の人生をかけ、命をかけ、この問題に取り組んでいく」

 そう決意と意気込みを語った東山新社長だったが、この会見を見ていて私の脳裏に想起させたのは、図らずもかつてのオウム真理教事件だった。ずっとオウム真理教の引き起こした事件の裁判を傍聴取材してきていたから、すぐにこの会見の様子が刑事裁判の場に立たされた元信者たちの姿に重なってしまった。